自由恋愛【天竺】

九井 一side ページ47

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初めて会ったのはイヌピーの紹介だった。



「誰コイツ？」



「情報屋をやってるって君の事？」



「別に金になるならなんだってやってやるよ」



「お金かぁ。お金は無い！」



「話になんねぇな」



いくらイヌピーの紹介だろうが金にならない仕事はしない！



「そっか。まあ、中学生に手を出すなんて出来ないから仕方ない」



「は？」



何言ってんだ？と理解出来なかった。



「今日は可愛い未来のイケメン達を拝めたから良いかな」



赤音さんとは全く違う年上の女になんだコイツと言う感想しか出なかった。






それからもイヌピーが連れて来るので何度か会うことになった。



そのうちイヌピー無しで会う日も出来た。



「ココくんはさぁ、赤音さん忘れたいって思った事ある？」



いきなり言われた赤音さんの名前にコイツに何がわかるんだと苛立った。



睨みつけると女は静かに笑った。



「私は忘れたいって思ったこと一度もないよ」



「は？」



「思い続ける事で苦しいなんて思いたくない」



未だにお金に囚われ続けるオレを赤音さんはなんて思うだろう。



「私は情報が欲しい」



「……何のだよ」



金がないコイツに聞く必要は無いが少しだけ興味が湧いた。



「佐野真一郎が死んだ日の事」



イヌピーにも関わりのある事だからそれなりに知ってはいる。



未成年が犯人の為報道規制がされていた。



「誰も教えてくれないから。私が犯人殺すとでも思ってるのかな？」



瞳の奥の闇を見た時そう言うことかと理解した。



「対価は？」



「私の身体を使っていいよ」



「自分で聞き出せば良いんじゃねぇの？」



「流石に情報を持った奴を探して落とすには大変そうだったから」



警察に色仕掛けはそうそう効かないだろう。



落とす前にしょっ引かれて終わるのがオチだ。



「ココくんが必要な情報を取ってきてあげるから代わりに教えて」



「本気か？」



「出来たらイケメン相手がいいなぁ」



「バカだろお前」



「私の周りのバカに比べたら天才の域かな」



溜め息が出た。



「とりあえずココくんで試してみる？」



首に回された腕に抗うことなく女を見た。



ふわりと香ったのは赤音さんと同じ匂いがした。



あの日オレは女と契約をした。



それでも他の野郎を回す気にならなかったのは自分の欲の発散の為だったのか。



「ココくん教えて」





教えて貰ったのはオレの方かもしれない。

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