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「そんなに乗りたいなら後ろ乗ってみるか?」
真一郎くんにそう言われて無言で頷いた。
何回かお店に顔を出しワカくんやベンケイくんとも仲良くなれた頃、ツーリングの日を定休日に約束した。
「スピード出さねぇけど危ねぇから体は密着させといて」
フルフェイスのヘルメットを被り後ろに乗った。
30分ほどでバイクを停めて公園を歩いた。
「初めてだから疲れただろ?」
後は座ってるだけと思っていたのに意外と足が疲れてガクガク言っていた。
「タバコいい?」
「大丈夫です」
「まだ緊張してんの?」
笑った顔が周りにいる男達とは全然違って見えた。
「真一郎くんって彼女いないの?」
「20連敗中の俺に聞く?」
「じゃあ、私がなってあげようか?」
「流石に高校生はなぁ」
生まれて初めての告白はあっさりと流されてしまった。
「コーヒー飲んだら帰るか」
呆気ないツーリングに寂しさが残った。
片道30分のツーリングは思った以上に身体に負担があったようで次の日は筋肉痛で足が震えた。
「真一郎くんは今まで彼女居なかったの?」
「痛いとこ抉るなぁ」
「私も初めてだし初めての相手が結婚相手に出来るよ!」
「ガキが何言ってんだよ」
真一郎くんにデコピンされてしまった。
「じゃあ早く大人になるから」
「急がなくていいよ。待っててやるから」
今度は頭を撫でられた。
「約束ね」
完全に今は子供扱いだけど絶対に見返してみせる。
夏休みだったのでほぼ毎日のようにバイク屋に訪れていた。
その時に万次郎やイヌピーとも知り合えた。
一番充実した夏休みだった。
「真ちゃんが告られるなんて奇跡じゃん」
ワカくんが揶揄ってきた。
「真一郎くんってなんでモテないの?」
「オレが聞きてぇよ」
真一郎くんが買ったばかりのコーラを頬に当てて来た。
「ひゃっ!」
冷たさに肩を跳ね上がらせた。
「真ちゃんは男にはモテるけどな」
「そっちの趣味が?」
「ねぇよ」
頬をつねられた。
「なら私と付き合ってくれてもいいじゃん」
「Aが18になるまで待っててやるよ」
「そしたらお嫁さんにしてくれる?」
「その時まで同じ考えだったらなぁ」
「変わんないもん」
「まだまだ2年以上あんだぜ?」
「またいつもの子供扱い!16だって結婚はできるんだから」
頭を撫でる手が大きくて安心できた。
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月華(プロフ) - 寧珠*さん» そんな初期から見てくれてたんですね!ありがたいです。こんな過疎地でねじゅちゃんの目に止まるなんて頑張って良かった!笑 (2022年9月30日 23時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 月華さん» 実は最初から読んでて、お気に入り登録も2人目とかだったような…ねじゅが月華さまの作品を読まないわけには参りません…! (2022年9月30日 19時) (レス) id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 寧珠*さん» コメントありがとうございます!!ねじゅちゃんに読まれてたのにはびっくりだけど気に入って貰えたなら良かった〜!続きもノープランだけど頑張ります!! (2022年9月30日 19時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 意味があるのかは不明ですが、読む度に評価いれるくらい好きです♡続きが楽しみだ…! (2022年9月30日 11時) (レス) @page42 id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 咲良さん» わーい!コメントありがとうございます!無理くりイザナと絡めちゃった!ここからヤンデレ始まるか!?全くのノープランです! (2022年9月15日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年8月19日 11時