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「………ワカ…くん」
学校が終わり校門をくぐると派手なバイクに寄り掛かる、さらに派手な髪色をしたワカくんが立っていた。
下校中の女の子達は目立つ彼を遠目で見ているが、あれだけ派手だと逆に話しかけられないらしい。
「よお」
ワカくんと会うのはあの日以来だった。
いつものヘルメットを渡された。
私がいつも使ってるヘアフレグランスの匂いがした。
12月のバイクは制服で乗るには厳しいが、ワカくんはいつもよりゆっくり目に走ってくれた。
ついたのは墓地でその意味に気づいて身体が強張った。
「………やだ」
「オマエ一度も来たことねぇだろ?」
「行きたくない」
「A」
身長はさほど変わらないのに抱える腕は力強くて逃げれなかった。
「ここに真ちゃんは眠ってる」
「聞きたくない」
「真ちゃんは死んだ」
「っ!聞きたくないって!!」
「もう急いで大人になる必要はねぇよ」
いつのまにか頬を雫が伝った。
『Aが18になるまで待っててやるよ』
『そしたらお嫁さんにしてくれる?』
『その時まで同じ考えだったらなぁ』
『変わんないもん』
『まだまだ2年以上あんだぜ?』
『またいつもの子供扱い!16だって結婚はできるんだから』
ワカくんの胸で泣いた。
声を出して泣くなんていつぶりだろうか。
あの日ですらこんなに泣いた事はなかった。
落ち着くまで待ってくれてワカくんは線香をあげていた。
私は未だに手を合わせる事が出来なかった。
ワカくんも強要はしなくてコーラを一本とタバコに火をつけて置いていた。
あの頃の香りをおもいだして胸が痛くなった。
「家送る」
「……やだ」
俯いて首を振った。
「一人になりたくない。ワカくんは誤解してるよ。私はそんな綺麗じゃない」
「A」
「ワカくんが一緒にいてくれないなら他呼ぶから駅で降ろして」
気持ちが整理されたからと言って抱きしめて欲しい人はいなくて、一人で寝ることは出来そうになかった。
「意識が飛ぶぐらいめちゃくちゃにしてよ」
じゃないと今は寝れない。
責任取ってと見上げると腕を引かれた。
「真ちゃん悪ぃ。貰うワ」
バイクを走らせた。
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月華(プロフ) - 寧珠*さん» そんな初期から見てくれてたんですね!ありがたいです。こんな過疎地でねじゅちゃんの目に止まるなんて頑張って良かった!笑 (2022年9月30日 23時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 月華さん» 実は最初から読んでて、お気に入り登録も2人目とかだったような…ねじゅが月華さまの作品を読まないわけには参りません…! (2022年9月30日 19時) (レス) id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 寧珠*さん» コメントありがとうございます!!ねじゅちゃんに読まれてたのにはびっくりだけど気に入って貰えたなら良かった〜!続きもノープランだけど頑張ります!! (2022年9月30日 19時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 意味があるのかは不明ですが、読む度に評価いれるくらい好きです♡続きが楽しみだ…! (2022年9月30日 11時) (レス) @page42 id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 咲良さん» わーい!コメントありがとうございます!無理くりイザナと絡めちゃった!ここからヤンデレ始まるか!?全くのノープランです! (2022年9月15日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年8月19日 11時