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「服が欲しい」
思い立ったら即行動なので学校を自主早退して街に繰り出した。
「こっち?んー。こっちの方がいいかな?」
鏡の前で合わせた。
「どちらもお客様に似合うと思いますよ」
店員の役に立たないアドバイスが聞こえた。
顰めっ面で鏡を睨んでると背後に人影が映った。
「Aじゃん」
「何してんの?」
見上げると六本木のカリスマ兄弟と言われた二人が立っていた。
「どっちがいいかなって思って」
そう言うと竜胆くんが少し悩んだ後に指を刺した。
「どっちかって言ったら右」
「じゃあ右にしようかな」
と、左を片付けようとすると蘭くんに両方掴まれてまとめて戻された。
「え?」
「どっちもナシ」
店員とは真逆のことを言う蘭くんに瞬いた。
「来いよ」
蘭くんに手を掴まれてそのまま外に連れ出された。
後ろから竜胆くんもついてきて、3人向かったのは今まで入ったことのないブランドショップだった。
こんな子供が入るところじゃないのに店員は蘭くん達を見るなり深々とお辞儀していた。
「コレ試着して来いよ。あとコレとコレサイズ出して」
投げて渡された服を落とさないように受け取るとこっそり値札を見た。
「ちょ……ちょっと待って蘭くん!こんな高いの1年分のお小遣い貯めても買えないんだけど!?」
恐ろしい数のゼロに血の気が引いた。
「何?オレが選んだ服に文句あんの?」
蘭くんにジロリと見下ろされると硬直してしまった。
「とりあえず着させてもらいます」
こんな高い服をただの女子高生が合うはずもないので、とりあえず着るだけ着てみる事にした。
試着と渡されたのは綺麗目なワンピ一スだった。
今まで着た事ないような色合いと雰囲気で、自分なら絶対に手に取らないと思う。
「……あの……着れたけど」
恐る恐る顔を出すと竜胆くんが気づいて蘭くんに耳打ちした。
二人の前で全身を見せると竜胆くんは驚いた顔で、蘭くんは満足そうな顔で頷いていた。
初めて着た雰囲気の服は着てみると意外としっくり来て『可愛い』と自分で漏れてしまった。
「そのままそれ着て帰るからタグ切って」
蘭くんが店員さんに伝えた。
「え?待って!お金そんな持ってない」
ココくんの情報料すら踏み倒す身としては、こんな大金持ち合わせていない。
「うるせぇ。それ着て飯行くぞ」
蘭くんが店員に黒く重々しいカードを渡すのが見えた。
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月華(プロフ) - 寧珠*さん» そんな初期から見てくれてたんですね!ありがたいです。こんな過疎地でねじゅちゃんの目に止まるなんて頑張って良かった!笑 (2022年9月30日 23時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 月華さん» 実は最初から読んでて、お気に入り登録も2人目とかだったような…ねじゅが月華さまの作品を読まないわけには参りません…! (2022年9月30日 19時) (レス) id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 寧珠*さん» コメントありがとうございます!!ねじゅちゃんに読まれてたのにはびっくりだけど気に入って貰えたなら良かった〜!続きもノープランだけど頑張ります!! (2022年9月30日 19時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 意味があるのかは不明ですが、読む度に評価いれるくらい好きです♡続きが楽しみだ…! (2022年9月30日 11時) (レス) @page42 id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 咲良さん» わーい!コメントありがとうございます!無理くりイザナと絡めちゃった!ここからヤンデレ始まるか!?全くのノープランです! (2022年9月15日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年8月19日 11時