20歳[1] ページ6
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専門学校に通い始めてもうすぐ2年、あと数ヶ月で卒業する。
その日はすでに働いている先輩達との飲み会に誘われて後学の為に参加した。
先輩達の愚痴を聞かされ、来年には自分もメイクアップアーティストになる為に見習いとして馬車馬のように働かされるんだろう苦笑いをした。
自分が選んだ道なので後悔はない。
「Aは何で帰るの?」
解散になりみんなタクシーやら駅に向かって行く。
「私地下鉄だから向こうなんだ」
今年から一人暮らしを始める事にした。
実家の親が介護の為に田舎に帰るとなって自分の将来の事を考えて私は東京に残る決断をしたのだ。
ほろ酔い気分を覚ます為に1駅分歩こうとみんなと別れた。
一駅歩くと言っても東京はちょっと道に迷っただけでも違う駅に着いてしまう。
「ねぇ、3万でどう?」
本当に東京は女一人で歩くとすぐこれだ。
しつこい男を振り払うと背中に何かがぶつかった。
「あ、すみませ…」
次から次へとと、ぶつかった人に謝罪をすると見知った顔に言葉を失った。
「消えろよ」
彼から発せられた低い声に男はそそくさと去っていった。
「…り…竜胆くん?」
「こんな時間に何してんの?」
「専門の先輩と飲んだ帰りで」
久々にあった高校の時のクラスメイトは相変わらず派手な髪色でカタギとは思えない空気だった。
「帰り?」
「うん」
「ちょっと1杯付き合ってよ」
有無を言わせない雰囲気で言われたが久々な友人に1杯ならと着いて行く事にした。
「本当久々だね」
「バレンタイン以来だっけ?」
「よく覚えてたね。いきなり学校辞めるからびっくりしたよ」
「まあ、色々あったからなぁ」
苦笑いで返す竜胆くんはあの頃と変わらなかった。
「噂では聞いてたよ」
「あー、まぁな。そういえば例の彼氏は?」
「卒業してからお互い忙しくて、去年ぐらいかな?お別れしちゃった」
実際は相手の浮気が発覚して別れを告げたのだが。
「今は?」
「それからは夢に向かってがむしゃらに頑張ってます」
「メイクアップアーティストだっけ?」
覚えててくれた事に驚いた。
「そう。4月からは見習いで働きながら勉強するよ」
「頑張ってんだな」
「自分の夢だからね」
気づくと竜胆くんがジッとこっちを見ていた。
「なぁ、俺さ高校の時お前の事好きだったんだよな」
竜胆くんの伸ばした指が頬を撫でた。
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月華(プロフ) - チヅさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら良かったです!他のお話で気に入って貰えるのがあると良いんですが。 (2022年9月13日 7時) (レス) @page28 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
チヅ(プロフ) - メチャメチャ楽しかったな〜(^^)他のお話も読んでみようと思います(^^) (2022年9月13日 1時) (レス) id: eeaef92f1e (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ふらんそわ。さん» コメントありがとうございます。竜胆は子供と肩車似合いそうだなって勝手に妄想しました😁 (2022年4月4日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 私も竜胆に肩車してほしーなー…😏 (2022年4月4日 1時) (レス) id: ce685a0196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年3月11日 0時