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「兄ちゃんごめん」
「んー?」
家に帰ってソファーで携帯を眺めながらくつろぐ兄ちゃんに謝罪の言葉を伝えた。
「Aにあった」
携帯から視線が動くのがわかった。
「塾帰りで歩いてたから家まで送った」
「そ」
深くは追求しないが怒っては無さそうだ。
「アイツさー、全然思い出さねーだろ?」
「弟くんって言われた」
(竜胆くんは蘭ちゃんと違うよ。竜胆くんは竜胆くんだよ)
「はは。ただの隣の席の男の弟だからな」
兄ちゃんの横顔は陰ってよく見えなかった。
想い出して欲しい気持ちと想い出して欲しくない気持ちがない混ぜになって胸を締め付けた。
この気持ちを兄ちゃんはずっと隣の席で感じてるんだろうなって思ってそれでも離れられないのは麻薬のようだった。
(蘭ちゃんと結婚したら竜胆くんは私の弟になるのかな?)
(ガキが何言ってんだよ)
(未来の事なんてわかんないじゃん!私は蘭ちゃんを離す気ないもん)
簡単に記憶を手放しといてよく言うよ。
(Aはどう考えても妹だろ)
(最高の家族だね!)
兄ちゃんの隣で笑うAの笑顔が世界で一番綺麗だと思った。
俺が隣の席だったらなんてちょっとだけ思ったのは俺だけの秘密だ。
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月華(プロフ) - 霧菜さん» 初コメントありがとうございます。霧菜さんに気に入って貰えたなら良かったです。 (2022年5月2日 18時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
霧菜 - 最後、泣きそうになりました。神作品です。 (2022年5月2日 17時) (レス) @page39 id: fd52a6e4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年2月22日 23時