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あれから学校に行く頻度が増えた。
「兄ちゃんAと話したりしてんの？」
「するわけねーだろ。あいつは覚えてねーんだから」
顔を見たら記憶が戻るかもと不安と期待があったが今のところ何も思い出してないようだ。
「A思い出してくんないのかな」
「…あの日の事を思い出させるぐらいなら今のままが幸せだろ」
「……そうだけど」
竜胆が短かったあの時間をAの事を妹のように可愛がってたのを知っている。
だから二人で刑を甘んじた。
あれは自分達の意思だったから。
「兄ちゃんはそれでいいの？」
「またあいつが巻き込まれたりでもしたら俺は大量猟奇殺人の犯人になるかもな」
「っっ！！」
未だに消えない憎悪の炎。
今のまま。
ただのクラスメイト。
席が隣なだけの関係。
「おはよう灰谷くん」
「ん」
たまに短く交わす言葉だけでも今は幸せなんだ。
近くで見るあの頃と変わらない無邪気な笑顔を自分じゃない誰かに向ける。
それだけで嫉妬にかられそうになるのを必死に耐えて今の状態を必死に守っていた。
「灰谷くん朝からケンカしてきた？ここに血がついてるよ」
いつものまだらなシミのついたハンカチで拭う。
「そのハンカチ捨てねーの？」
「んー？なんだか手放せないんだよね。私中学の１年間だけ記憶飛んでてさ、多分その時のシミなんだよね。きっとボケボケしてたから怪我だらけだったのかな？そのせいで事故にあって記憶も飛んじゃったのかな？」
あの時の事を保護者と周りで交通事故として本人に教えたらしい。
「捨てちまえよ。そんなの」
「そう出来たらいいんだけどね。なかなか捨てれなくて」
(私のハンカチみんなシミだらけなんだけど！)
(新しいの買ってやるから捨てろよ)
(絶対だからね！)
守られなかった約束
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月華(プロフ) - 霧菜さん» 初コメントありがとうございます。霧菜さんに気に入って貰えたなら良かったです。 (2022年5月2日 18時) (
レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
霧菜 - 最後、泣きそうになりました。神作品です。 (2022年5月2日 17時) (レス) @page39 id: fd52a6e4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華 | 作成日時：2022年2月22日 23時
