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家でくつろいでいたら携帯が鳴った。
相手を見るとAからだ。
一瞬戸惑ったものの、電話をかけてくることが今までなかったので胸のざわつきを感じ出る事にした。
「もしもし？」
『……ら…らん…くん』
声が震えていて聞き取りずらい。
「A？どうした？」
『誰か後ろにいて…でもいなくて…』
「落ち着け今どこ？」
なるべく落ち着かせるようにゆっくり伝えつつ家を出る支度をした。
『塾の帰り道』
「すぐ行く！人の多いとこにいとけ」
ちょうど玄関が開く音がして竜胆が帰って来たのでそのまま連れ出す。
『うん。わかっ………んっ！！』
電話の向こうからただならぬ気配に背筋が凍る。
「Aっ！！！」
電話が切れてしまい苛立ちと恐怖が支配する。
一度送った事のある竜胆に道を聞き探しに出た。
「くそっ！！」
車か何かで場所を移動されてたら特定は難しい。
「……っ！暴れんな」
公園の茂みから聞こえる男の声に心臓が高鳴った。
茂みを掻き分けるとAの上に覆いかぶさる中年の男の姿。
「てめぇ！！」
考えるより先に体が飛び出し男を蹴り飛ばした。
月華の姿を見るにまだ未遂のようだが泣きながら震える姿はあの時を彷彿とさせた。
慌てて逃げようとする男の胸ぐらを掴み殴りつけた。
何回か殴った時に竜胆が俺の腕を止めた。
「あ？」
イライラのまま竜胆も睨みつけた。
「兄ちゃん俺が後はやるからA送ってやってよ」
放心状態のAをどうにかしないとと頭が冷え、すでにボロボロの男に最後に一発入れて投げ捨てた。
「……A、大丈夫か？」
手を伸ばすと身体が大きく震える。
「……ぁ……らん……ちゃん？」
「っ！！お前記憶が！？」
「っごめん！」
泣きながら逃げようとするAの手を無理矢理掴み引き止めた。
「悪ぃ。怖いよな。でも家まで送らせて」
泣きながら無言で小さく頷いた。
少し距離をとって歩く。
思い出したのかそれ以上聞けず2人とも無言で家まで歩いた。
結局家まで一言も言葉を交わさなかった。
「……蘭ちゃんごめんね」
家のドアが閉まる直前に聞こえた一言に困惑した。
思い出したのならあの時の事を恨んでいるだろう。
Aは俺のせいで被害にあったんだから。
罵られる覚悟はある。
思い出して欲しくなかったのは俺のエゴだったのかもしれない。
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月華(プロフ) - 霧菜さん» 初コメントありがとうございます。霧菜さんに気に入って貰えたなら良かったです。 (2022年5月2日 18時) (
レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
霧菜 - 最後、泣きそうになりました。神作品です。 (2022年5月2日 17時) (レス) @page39 id: fd52a6e4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華 | 作成日時：2022年2月22日 23時
