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蘭くんと顔を合わせなくなって一ヶ月が経った。
秋はソワソワしてしまう。
事故にあって入院してたのもこの頃だから。
それでも蘭くんの事で頭がいっぱいだった。
今日は塾だったけどやっぱり点数は良くなくて残ってたら遅くなってしまった。
「そうだった今日はお迎えないんだ」
タクシーを呼ぼうと携帯を開くが考え事もしたかったから歩いて帰る事にした。
その時の選択を私は後悔する事になる。
「はぁ」
蘭くんと会いたいなぁ。
俯く足元に自分以外の影が見えた。
動悸が走った。
振り返るが誰もいない。
影があったはずなのに居ないわけのない一本道に恐怖を感じた。
「…ら…らんくん……」
慌てて携帯を出した。
(なんかあったらすぐ連絡して)
そう言ってくれたけどもう出てくれないかもしれない。
隣の席でも妹でもない私の電話なんて。
『もしもし?』
意外にすぐに出てくれた。
「……ら…らん…くん」
『A?どうした?』
「誰か後ろにいて…でもいなくて…」
『落ち着け今どこ?』
「塾の帰り道」
『すぐ行く!人の多いとこにいとけ』
「うん。わかっ………んっ!!」
いつの間にか後ろに人がいて口を手で塞がれた。
『Aっ!!!』
蘭くんの叫び声が聞こえる。
知らない男の人に引きずられ公園の茂みに連れてかれた。
「声出すなよ」
太った中年の男に覆い被せられ恐怖で身体が震えた。
(これが灰谷蘭の女か?)
中年男とは別の声
(抑えつけろ)
(っやだ!!蘭ちゃん!!!)
(黙っとけっ!!)
身体に蘇る痛みの記憶。
恐怖の記憶。
「女子高生が1人で歩いてたら危険なんだよ」
流れる涙を舐められ全身が粟立つ。
助けて蘭ちゃんっ!!!
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月華(プロフ) - 霧菜さん» 初コメントありがとうございます。霧菜さんに気に入って貰えたなら良かったです。 (2022年5月2日 18時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
霧菜 - 最後、泣きそうになりました。神作品です。 (2022年5月2日 17時) (レス) @page39 id: fd52a6e4cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年2月22日 23時