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風「何言ってんだよ……。」
自分の声が震えているのがわかった。
それと同時にAと繋いでいた手の感覚がなくなっていくのもわかった。
『もう時間がないの……
でもこうするのが一番良かった…。
あの男の思うままになるのは嫌なの。』
こんな状況、理解しろって言う方が難しいだろ。
だけど俺だってAが居なくなる事ぐらいは理解出来る。
風「居なくなるなって言っても……、もう遅いんだろ………。」
ごめんね、って言いながら泣いているAにつられて、俺の頬にも生温いものが流れているのを感じた。
そんな俺はまだ微かに実体が残っているAにキスをした。
何回も、何回もした。
涙が止まらなかった。
胸が痛かった。
唇を離した時には手を繋いだり、抱きしめたりする感覚なんてもう無かった。
そんなAが最後に言った。
『風磨、愛してる……』
風「A…………」
そこで俺の意識は途絶えた。
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作者名:平社員 | 作成日時:2016年8月14日 22時