炭水化物で言ったらパン。 (ページ27)

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週末。俺は街の外れに向かう電車に揺られていた

到着した場所は無人駅の、それはもう町外れという言葉がぴったりなのどかな場所だった。
足を進めること五分、目的のその場所、広い芝に囲まれたこれまたなかなか大きめの平家が見えた。近づくにつれて可愛らしい鳴き声が聞こえてくる。
月一の週末に行われるそれは、声の主たちの新しい家族を探すための場所だと、ホームページに載っていた。

「今度俺ん家猫飼お思てて、ほいで折角やったらって事で、譲渡会行ってみたんよ。ほんならな、そこにおってん！！神ちゃん！！！！なんか俺、ばれたらあかん気がして隠れてもうたから多分神ちゃんは気づいてないと思うわ。まぁ、お前が絶対会いたい思うんなら行ってみぃや」

とが望の話である。なんか含まれている感じがして、どうもスッキリしなかったのだが、そんなことはともひろに会えるかもしれないと言う事実に比べればとても小さいことにすぎなかった。

そして今日に至る。この数日、その施設について調べまくり、この俺が緊張で夜も眠れず、授業中も一睡もしなかった事で教師から心配された。

「よしっ」

気合を入れて戸を開くと、その近くにいたふんわりとした雰囲気を纏ったふくよかな女性が声をかけてきた。どうやら施設の人だったらしく、色々と話を聞かれそうになったのをなんとか阻止して本来の訪ね事を。

「あの......ここに神山智洋って人、居ますか....?」

「あぁ!ともくんのお知り合いでしたか!ともくんならあっちに居てますよ、ご案内します」

そう言って庭の方へ案内される。
心臓が口から出そうとはまさに今の状況を言うのだろうと思った。

「..ともくーん!お客さんよ〜」

そう言ってこちらに会釈をすると離れていった女性の先には

「、、、りゅせ、、？」

猫たちと戯れる、車椅子に乗ったともひろがいた。