友達２ ページ23
〜三浦サイド〜
Aちゃんの家に決まった時、思わず「やった！」と心の中でガッツポーズした。
佐藤、壊してくれててありがとう！笑
以前送ってきた、見覚えのあるアパートに着く。
『どうぞ』と言ってAちゃんが鍵を開けてくれた。
別に2人きりじゃないのに、めちゃくちゃ緊張する。
玄関を上がると、かわいらしいシンプルな部屋が目に入る。
平静を装いながらも、思わずきょろきょろ見てしまう。
Aちゃんとゆりちゃんがキッチンに行ったので、佐藤と2人でソファーに腰掛ける。
佐藤は「テレビつけてもいい？」と言ってテレビを見始めた。
オレは……それどころじゃない。
だって、目の前には……Aちゃんのベッドが…
いやいや！変な想像してないから！
自分自身に突っ込みを入れる。
ベッドをあまり見ないように、目線をふと壁伝いに移すと、アコースティックギターが1本立てかけてあった。
ギター？……弾くのかな？
にしても、Aちゃんには似合わないよなぁ。
そのまま目線をラックに移す。
すると、写真立てが何個か目に入った。
中に入っているのはギターを持った男……みんな同じ人みたいだ。
ミュージシャン？歌手？こんな芸能人いたっけ？
この人の、ファンなのかな？
またベッドへと目線を戻す。
いやいや！だからそういうんじゃないって！
て、オレ何やってんだ？笑
その時ベッドサイドにも一つ写真立てが飾られていたのが目に入った。
佐藤に気づかれないように、そっとソファーから腰を浮かす。
よく見るとさっきラックに飾ってあった写真立ての人物と同じ顔の男が幸せそうに笑っていて
その隣には……
Aちゃんも同じくらい幸せそうに笑っていた。
ドクンと胸が嫌な音を立てる。
佐藤「あ、そういえばさぁー…」
佐藤に話しかけられて慌ててソファーに腰を下ろす。
佐藤の話がまったく耳に入らないまま、キッチンにいるAちゃんの後姿を見つめた。
あれが……忘れられない元彼なのか？
あのギターも、元彼のやつなの？
元彼の存在よりも、ギターという置き形見よりも、
あんなに幸せそうな笑顔をオレは見たことがない、という事実がなによりもオレの嫉妬心に火をつけたんだ。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴょん
| 作成日時：2012年5月23日 8時
