55話 ページ6
me side
kn「改めて内容を説明する。両者の胸と背中に的となる紙を貼り、インクの入った訓練用の銃で撃ち合いをしてもらう。制限時間は20分。行動範囲は訓練場内。どちらか片方の的にインクが命中した場合、そこで試合終了とする。」
つまり動き回るってわけじゃないですか…。私が今いる訓練場は特殊訓練場といって、森のようなフィールドになっている。暗殺や本格的な訓練にうってつけだ。
私のインクは黒色。ショッピさんは紫色。不正を防ぐためにインクの色を別々にしている。
kn「それでは今から5分間、各々自由に隠れろ。その後スタートの合図を切る。」
ショッピさんと私がどちらも反対の方向へ走る。どうしよう、なるべく遠い所へ行きたいな。多分ショッピさんはしっかりと安全圏から私を狙うだろう。そもそもショッピさんの狙撃範囲が分からないから、そこが難点だ。
とりあえず草むらの中へ身を隠す。
kn「始めっ！！！！！」
コネシマさんの大きな声が場内に響き渡る。取り敢えず銃声や足音は聞こえたりしていない。射程圏外にいるようだ。私は草むらの中をほふく前進で移動する。そしてスコープで周りを覗いてみる。……まだいないな。
その瞬間、上からインクが飛んでくる。私はそれを躱してなるべく早く走る。ゾムさんから習った走り方だ。
素早く木の上へ移動してもう一度スコープを覗く。一瞬影が写ったがまた消えてしまった。早いな…
数弾のインクが私の周りに飛んでくる。木の後ろに身を隠してたのにしっかりと狙ってくるとかどんな洞察力よ…
しかし相変わらずショッピさんの姿が見えない。ということはかなり遠くから狙ってる。ざっと2300mってとこか…？バケモンじゃん……
『じゃあ…一か八か……っ！』
ショッピさんの射程圏から離れる。私はそれ以上…3000mから狙う。私は観察眼に集中力の全てを注ぐ。
見えた。
数弾撃ち込む。しかしそれは躱されてしまった。互いに距離を縮める。足音が段々近くなっていく。狙撃ライフルからショットガンに変える。
shp「……っ！」
『……』
お互いの姿が見えた時、両者とも引き金を引く。インクの弾が、ショッピさんの胸の的目掛けて飛んでいく。
ピシャリと見事的に当てたが、私の胸の的にもインクが当たっていた。
kn「そこまで！試合終了！」
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作者名：律 | 作成日時：2022年1月13日 17時
