42話 ページ43
me side
林檎のビニールハウスに着くと、そこにはエーミールがアップルパイを試食していた。
em「お二人共、葡萄の方はどうでしたか？」
『とても種類が多くて、どれも美味でした。お酒が好きな方にプレゼントしたら喜びそうですね』
ci「料理にも合いそうでしたよ？あれはドライフルーツにしても美味しいでしょうね。」
em「ふふっお土産に買っていきましょうか」
ci「はい。Aさん、僕はアップルパイを試食するので、エミさんと一緒に楽しんできて下さい」
『アップルパイ独り占めしたいだけでしょ全く…』
em「まぁまぁ。さて、行きましょう」
エーミールに宥められて、一緒に林檎の木の間を歩く。所々には重さに耐えられなかった林檎が落ちている。
私はそれを拾い、傷がないことを確認するとハンカチで擦り清潔な部分を齧る。
『…甘い』
em「わたしにも1口。」
私が林檎を持っている手を優しく掴んで齧った反対側を齧る。その瞬間にエーミールの顔が近くなり赤くなる。閉じていた目がゆっくりと開けられる。そして顔を離す。
em「確かに甘くて美味しいです」
…心臓に悪いことをしないで欲しい。もしかして無意識にやっているのだろうか。天然たらしだ…
『あ。あの林檎、採りたいです』
別の林檎の木を指差す。人気の品種なのだろうか、木の中腹の方は採られているが、上の方はまだ実っている。
em「分かりました。今梯子を持ってきますね。」
『はい。ありがとうございます。』
エーミールが木に梯子をかける。
em「Aは下の方で支えてて下さい。私が採ります。」
『エーミールの体重と梯子を支える力なんてあまりありませんよ。私が採ります。』
交代してエーミールに梯子を支えてもらう。私は梯子を登り、林檎を片手で持てるだけ採る。そして慎重に梯子を降りていく。地上に足をついてエーミールの顔を見るとなにやら物凄く顔が赤く、俯いている。
『採ってきましたよ…どうしたんですか？』
em「……わ、私は何も見てませんから！」
あたふたした様子のエーミール。私は挙動不審のエーミールに疑問を浮かべながらチーノさんの所へ歩く。
ci「おかえりなさい。…なんでエミさん顔赤いんですか？」
『私が木に降りたあたりからなんかおかしいんですよ。』
ci「……あぁ〜なるほどね…エミさんラッキーボーイですね。」
『だからなんなんですか…』
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作者名：律 | 作成日時：2022年1月6日 17時
