【wrwrd】あなたへの恩返し【em】 (ページ23)

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22話ページ23

me side

em「1、2、3、ここでターンですよ」

エーミールと踊りながらまずはナチュラルターンを覚えている。社交ダンスにも様々な種類があって今は初歩の初歩。覚えるのが大変だ。

『1、2、3…っできた』

em「はい、次はアウトサイドチェンジです」

知らない単語が次々と出てくる。エーミールの動きとメトロノームの音に合わせてステップを踏んでいく。

em「今の動きを2回やって次は123 456 123のリズムでナチュラルターンをやりますよ。その次は123のリズムでナチュラルターンとアウトサイドチェンジをします。」

『はい。』

今のステップを覚えて次、また次と新しいステップを覚えていく。時間が過ぎるのはあっという間で、もうショッピさんと約束した時間が近づいていた。

『あ、やば！私そろそろ行かないと！』

em「おや、もうそんな時間ですか。それでは今日はここまでです。」

『はい！ありがとうございました！エーミール！では！』

エーミールにお礼を言い、走りながら自分の部屋へ向かう。前を見ると、自分の部屋の前にゾムさんがいた。

『っ…ゾムさん！私急いでるんです！用なら後にして下さい！』

私がそう言っても部屋の前から退こうとしない。申し訳ないが、今はそんな悪戯に構ってる時間などないのだ。

『ゾムさん……？』

zm「……なんで……俺に言ってくれなかったんや」

ゾムさんは小声で、寂しそうに言う。言ってくれなかったとは社交パーティ出席のことだろう。

『だって、ゾムさん言っても絶対行かせようとしないでしょ』

zm「でも内緒にする必要はないやろ。俺やって最初は否定するかもしれんけど、話し合えば行かせることも出来たはずや」

『話し合う時間が多くなるでしょう。私はそこまで暇じゃないんですよ。』

正直、ゾムさんに言わなかったことは悪いと思っている。でも私だって戦えなくても役に立ちたいのだ。

『私はエーミールやゾムさんの役に立ちたいんですよ。戦いもろくに出来ないのに特訓してくれたり。なによりここに置いてくれてるんですから。』

zm「………じゃあ」

ゾムさんは私の肩を掴んだ。そして勢いよく私の体は反対側を向き、気付けば目の前にはゾムさんの顔が。後ろを向けば壁だ。まずい。逃げ場がない。