20話 ページ21
me side
そうと決まればまずは社交辞令やダンスの練習をしなくては。チーノさんと別れたあと、私は色んなことを教わるために書斎へ向かう。
『失礼しま〜す…』
em「はい、どうぞ。」
やっぱりここにいた。エーミールは窓際の席に座り、お菓子と紅茶を嗜んでいた。その向かいにはオスマンさんが。おぉこれまた珍しい。
os「こんにちはAちゃん。こっちに座って〜」
『こんちには。ではお隣失礼します。紅茶もお菓子もいい匂い……』
em「紅茶は私がブレンドした新作ですよ。お菓子はオスマンさんが買ってきてくれました。何か私たちにご用事でもありましたか？」
エーミールが新しいティーカップにお茶を注ぎながら言う。その所作が一つ一つ綺麗で様になっている。
『はい。実は今度社交パーティに出席することになったのでエーミールに色々教わろうかと。』
多分エーミールもその事がしっかり伝わっているのだろう。と思いエーミールの顔を見るが、驚いた顔をしている。
em「え……？」
『え？』
いまいち会話が噛み合わずに私たちはお互いを見合わせて沈黙してしまう。どういうことだ。私たちはオスマンさんの顔を見る。
os「エーミールに伝えるの忘れてためう。」
舌を出しながらてへっとして紅茶を啜る。うわなにこの人白々しい。そしてそんな顔や仕草も可愛い。確信犯だ。
em「オスマンさん…あまり私を揶揄わないでください…一瞬心臓が止まるかと思いましたよ……」
os「ごめーん！面白いと思って」
em「はぁ…全く……しかし決まったものは仕方ないです。私が教えましょう。」
『わーい！やったー！』
em「書斎ではお静かに。」
エーミールが私の唇に人差し指を当てて静かにさせる。そんな様子を見たオスマンさん。
os「きゃー！エーミールだいたーん」
そのことを指摘されたエーミール。最初は「？」とした顔をしていたがだんだんと顔が赤くなってくる。
em「あぁもう！だから揶揄わないでくださいっ！」
今日もとても賑やかです。私はそんな2人を見ながらエーミールの紅茶を飲む。やっぱり落ち着くな。この味。そしてオスマンさんが買ってきたお菓子を頬張る。
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作者名：律 | 作成日時：2022年1月6日 17時
