17話 ページ18
tn side
総統室で頭を掻きながら書類を書いているのはこの国の総統、グルッペン･フューラー。俺はその人物を監視しながら静かに立っている。
gr「トン氏……そろそろ休憩……」
tn「あかん。まだ1時間も経っとらんやろが。」
gr「うぐっ……」
そんなやり取りをしていると総統室の扉から3回ノックが聞こえた。グルッペンの代わりに俺が返事をする。
tn「入れ。」
os「失礼するめう〜。社交パーティに連れて行くメンバー、決まったで。」
tn「お、やっと決まったんか。」
社交パーティに行くメンバーは3人。チーノとエーミールは決まった。選定理由はチーノは欺けること。エミさんは博識で礼儀もしっかりしているからということで俺が推薦した。しかしもう1人がなかなか決まらず困っていた。そしてオスマンから出た言葉は
os「Aちゃんに決定したで。」
tn「………は？」
自分でも驚くくらい素っ頓狂な声が出る。Aを貴族も参加する社交パーティに？言葉1つで戦争を引き起こせるくらい大きな場所へ？俺は眉間の間を抑える。
tn「まてまてまて。まず理由を聞こう。」
os「単純な話めう。女避けの他にも1度広い世界を学んで欲しいってだけや。」
tn「あんな…そんな単純な話で済ませられるほど簡単じゃないんやで？今回の社交パーティは他国の外交官の他にお偉いさん、貴族まで参加するんや。ただの女の子が来るような場所やない。」
俺がそう説明すると糸目だったオスマンがすこし目を開き金緑石の瞳が鋭く俺を刺す。
os「……トントンはAちゃんのことどう思っとるん？」
tn「……………」
少しの間沈黙が続く。
tn「俺は…Aによう助けられてると思う。雑用しながら自分以外の仕事も引き受けて、要領良い奴やと思っとる。さらに自分で言ったことは突き通す、責任強い子や。」
os「なら、信じてみぃひん？あの子の実力を。」
tn「………せやな。分かった。社交パーティに行くメンバーはこれで決まりや。グルッペン、了承を。」
gr「うむ。では、カリファ国の社交パーティに行くメンバーをこの3人に決定する。あとで3人に伝えとけ。」
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作者名：律 | 作成日時：2022年1月6日 17時
