【wrwrd】あなたへの恩返し【em】 (ページ15)

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14話ページ15

me side

ゾムさんとデートをする為の服装に悩む……わけもなく適当に軽装をして部屋を出る。すぐそこにはゾムさんが腕を組んで待っていた。

zm「俺の為に服悩むとかないんか」

『あるわけないでしょ。毎回体しごく人に。』

即答する。ゾムさんはこの国でそこそこ有名人で街で姿を見かければ可愛い女の子たちが頬を染めて黄色い歓声をだす。だが軍にいる時は問答無用で山のようなトレーニング課題を出す鬼だ。理想と現実ってやつ。

zm「ほな行こか」

そう言われて手を引かれる。私ももういい大人なんだけどな…。やたらとエーミールとゾムさんは昔の感じが抜けないからか、こうやって手を繋いでくる。

そうこうしていると城下町に降りてきた。どこの方向からでも料理の良い匂いが漂ってくる。そしていつも賑やかだ。ゾムさんは今日奢ってくれるそうで、屋台で何か買ってくれている。やったね。

zm「ほらA。肉まん買ってきたで」

『わぁ！ホカホカだ…ありがとうございます！いただきます！』

1口噛むと玉ねぎの甘みとお肉の肉汁が口の中にジュワッと広がり、思わず顔が綻ぶ。

『……！！美味しい…！！』

城下町にこんなに美味しい食べ物があるとは知らなかった。城下町に来る時といえば視察くらいで、こうしてゆっくりとできるのは初めてで。

zm「…！その顔、堪らんなぁ」

まずい。油断した。隣にいるゾムさんの顔を見れば少し頬を染めて面白そうな物を見つけたとでも言いそうな目をしている。私は彼の押してはいけないスイッチを押してしまったのだ。

『あぁ〜〜！！なんてことしてしまったんだ私！！』

zm「次俺のオススメの店、行こか〜！」

逃げようとしたが服の襟を捕まえてズルズルとゾムさんに引っ張られる。抵抗しようとするが力の差は歴然で絶望した。私は全てを諦めて走馬灯のようにみんなの顔を思い出しながら合掌する。曼荼羅……

『せめて恋人は見つけたかった……』

zm「恋人…ね」

ゾムさんは何かを呟いたが私には聞こえず、そのままゾムさんお気に入りの店へと引き摺られていった。