step by step (ページ4)

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ティザー撮影ページ4

「青葉は天真爛漫な雰囲気を出しましょうか」
「了解です。ポーズもそんな感じですか？」
「あ、ジャンバーの首のところ、指で持って引き上げて」
「首を隠すイメージですよね、わかりました」

ポーズはオーダーが入ったので、少し動きをつけつつそのように。それ以外にも自由に動いてみてほしいと言われて、そうしてみる。まだうっすらとしか形になっていない青葉紬をみんなで形作っていく。

「…カット！うん、かわいい」
「ありがとうございます」
「こっち来て見てみて」

その場を離れて、撮ったばかりの映像を確認する。青葉は可愛いけれど可愛いだけのキャラクターではない。大々的にそれをアピールすることは出来ないけれど、気になる人は気になってくれるはずだ。

「ほんとだ、かわいい」
「っ！びっくりしたぁ」
「あはは、ごめんね」

離れたところで休憩していたはずの星野さんが私のすぐ後ろにいた。突然かけられた感想に思わず肩を揺らすと、そんなリアクションが面白かったのか彼はあははと笑う。

「主役のお墨付きも頂けたので、青葉の撮影終わりです」
「よかった、ありがとうございます」

思ったよりもずっと早く終われた。ちらりとスタジオにかかっている時計を確認する。これなら次の現場に移動してからゆっくりご飯を食べる時間がありそうだ。もしくは、少し寝てもいいかも。

「Aちゃん次仕事？」
「はい。ドラマです」
「あ、今やってるやつか。俺ね、見てるよ」
「えっ？！」

なんてことないように綾野さんにそう言われて私は思わず大きな声を出してしまった。周りのスタッフさんたちの視線も集めてしまって、慌てて私は自分の手のひらで口を塞ぐ。

もちろん役者である以上、知り合いが関わっていてもいなくても自分が出ていないドラマを見ることはあるし、なんらおかしな話ではない。でも、私がピンポイントで見ていると言われるとは思っていなくて、思わずびっくりしてしまったのだ。

「Aちゃん前よりもっと上手くなったなーって思ってた」
「あっ、ありがとうございます…」
「早く一緒に芝居したいな」
「えええ…死にそうです…」
「なんでよ」

私だって綾野さんと星野さんとまたお芝居がしたかった。その夢が叶うまであと少し。