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ボストンバックを抱え直し、フードを被ったクロは慣れた様子で廃材と化した机や椅子が積まれた中庭を歩き出した。
校内は外より更に荒れている。所々に無造作に転がっている廃材を飛び越えて進んでいくにつれて屯ってる不良たちに出くわした。
胸倉を掴み合って一触即発なところもあれば、下品な下話に花を咲かせて楽しむ男たちの間をのらりくらりと、猫のようにクロは進む。
彼らの服装は学ランの為、黒服に身を包むクロは一瞬その中に混じっても違和感はないが、それは一瞬だけ。
男たちは泣く子も黙る鬼邪高に異物が混じっていると気が付いた。しかもその脚は真っ直ぐにこの学校の頭がいる教室に向かっている。
「おい何処のモンだテメー」
任侠映画かよ、とクロは思わず苦笑い。
「ここの頭に会いに来た。どいて？」
男性とは違う高い声とフードから覗く丸い瞳に、男たちは目の前の黒尽くめが女だと分かり驚くが次第にその目は卑しくクロを見下ろした。
「かぁいねぇ？なあフード取ってみてよ」
「えーやだー」
嫌がる素振りをしているが台詞は棒読み。
それを満更でもないと勘違いした男は詰め寄り、クロの背中がピタリと壁に付くとその左右に腕を伸ばし逃げ道を塞ぐ。
「いいじゃん。顔見せてよ」
フードの中を覗き込もうと身を屈ませる男にクロはふざけて「いやん」と顔を両手で覆い隠す。
すると彼の仲間らしき学生がしつこく詰める男の肩を掴み、クロから離そうとその身を引いた。
「おい止めろってお前。村山さんに会いに来た女だろ？手ぇ出したらヤべぇって」
「顔見るぐらい別にいいじゃん
男の悪ノリに周りも頭の女というワードに惹かれ、一目見ようと群がり一種の人だかりが出来てしまっている。
「なあちょっとだけ」と男が顔を覆う腕を掴んだその瞬間、彼女の脚は男の股に思いっきりめり込んだ。
「あ゛あ゛！？」
竦み上がる程の強烈な痛みに男は自分の局部を抑え込み、涙目になって崩れ落ちた。
するりと男たちの間を潜り抜けたクロは彼らから少し離れた場所で立ち止まると漸く得た解放感にふぅと歓声を上げる。
そして振り返り愕然とする男たちに向かって一言。
「お大事に」
フードから覗く目をキュっと細めて、チシャ猫のように笑って去って行くクロに男たちは追う事も忘れ、惚けた目で見送った。
友人が未だに痛みに悶え蹲る男の肩に手を添えて優しく言ってやった。
「な？ヤベぇつったろ」
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花恋(プロフ) - 更新再開を心よりお待ちしてます (2021年1月30日 3時) (
レス) id: e938aee02d (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - 花恋さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですがまた読んでやってください(^^) (2020年7月29日 21時) (レス) id: 5dc992d6af (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - とても面白いです！これからどんな展開になるのか今からドキドキです^ - ^ (2020年7月22日 22時) (レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - りさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^) (2020年7月7日 22時) (レス) id: 55961c2479 (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - すごく面白いです、更新楽しみにしています！(^^) (2020年7月7日 5時) (レス) id: 0ffa97bc4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハチ公 | 作成日時：2020年7月1日 9時
