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少女の真剣な瞳と口ぶりに龍人は不覚にも圧倒されてしまった。
弱いくせに稽古を何度も放り出し、暇さえあれば縁側で猫のように陽に当たって昼寝をする絵に描いたような怠惰な生活をしてきた少女とは思えない。
何百人の部下を従え、九つの龍を束ねる総裁と同じ気迫を奇しくもこの脆弱な少女に感じてしまったのだ。
「俺から一本も取れない弱者が偉そうに…」
これではまるで負け惜しみだと、龍人はすぐに自分の発言に後悔した。
少女を見ればまるで不思議の国に出て来る意地悪猫のようなニタリ、と薄笑いを浮かべている。
「精々あたしに追いつかれない様に精進してね。お兄さま」
「ああ…無理。やっぱり今すぐ出てけ、勝手に外で野垂れ死ンでろ」
「言われなくともいずれは出ていくって言ってんじゃん。耳、ちゃんと付いてる？」
あの親にしてこの兄妹あり。今にも罵声の応酬が始まる一触即発なその時、２人の背後から何かが勢いよくバキリッッと折れる音がした。
「げ…源治」
「おい。何故いま箒を折った？」
振り返ると、竹箒のそこそこ太い柄をボッキリと真っ二つにして佇む源治に２人は戦々恐々とし声を掛けた。
「…すまない。お嬢がこの組を出ると聞いて思わず…」
「……」
「出て…行きませんよね？」
「「…」」
少女は身の危険を察知し龍人の袖をぎゅっと握り締めた。龍人は片手で顔を覆い嘆いた。
「拗らせてンじゃねェか」
黒崎会の会長に詫びを入れに行く日はそう遠くないかもしれない。
あれから数十年。少女は女性と成長し、年季の入った一眼レフカメラを首から引っ提げ晴天の下、商店街をのらりくらりと気ままに歩く。
「え、何あの雲。絶対なかにラピ〇タあるじゃんっ」
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花恋(プロフ) - 更新再開を心よりお待ちしてます (2021年1月30日 3時) (
レス) id: e938aee02d (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - 花恋さん» コメントありがとうございます。不定期更新ですがまた読んでやってください(^^) (2020年7月29日 21時) (レス) id: 5dc992d6af (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - とても面白いです！これからどんな展開になるのか今からドキドキです^ - ^ (2020年7月22日 22時) (レス) id: 2b0127518b (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公(プロフ) - りさん» コメントありがとうございます。嬉しいです(^^) (2020年7月7日 22時) (レス) id: 55961c2479 (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - すごく面白いです、更新楽しみにしています！(^^) (2020年7月7日 5時) (レス) id: 0ffa97bc4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハチ公 | 作成日時：2020年7月1日 9時
