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鏡 ページ3
慌ただしい朝を何とか切り抜け、ひとまず準備が終わった私は、集合場所で皆さんが来るのを待っていた。
暇つぶしに辺りを見渡すと、ズラリと並べられた目が眩むような調度品達が視界に入ってくる。
その一つ一つを見ていると、隅に置かれていた大きな鏡に気付いた。
縁は金で唐草模様のような複雑な彫刻が施されていて、今までこれの存在に気付かなかったのが不思議なくらいだった。好奇心が湧き、ゆっくりとその鏡に近づいていく。
もっと近くで見ようと鏡の前に立つと、自分の姿が鏡に映っていた。
自分の姿が鏡に映るのは当然の事なのだが、私は映っている自分の姿に驚いてしまった。
お姉ちゃんに渡されたリクルート用の衣装を着ている自分が、まるでヴィランズのように見えたからだ。
ヴィランズのデザインの衣装だからそう見えただけかも知れないが、彼等の世界に自分がどんどんのめり込んでいっていることが少し怖かった。
お姉ちゃんの記憶を取り戻して、一緒に帰るんだ。
自分にそう言い聞かせて、自分の頬をﾍﾟﾁﾍﾟﾁ叩いた。
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作者名：他人丼 | 作成日時：2018年7月1日 7時
