彼女からキスを盗む方法 Ⅴ【Reo】 (ページ8)

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208.新人ページ8

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「失礼します。本日よろしくお願いします」

打ち合わせ等済ませ、
しばらくして楽屋挨拶に来た智哉さんの後ろで
Aが扉の隙間から顔を覗かせていた。

みんなで普通に挨拶した後、
亜嵐くんがそのことに触れる。

「ところで智哉くん、後ろの方は？」

「あ、すいません。僕のマネージャーです。新人で」

智哉さんがAを楽屋の中に引っ張り込む。
もちろん一言も聞いてなかった訳だけど
最近の忙しさとカフェで見かけたこと諸々に対して
瞬時に納得できた。

「よろしくお願いします」

「え、いつから？」

「まだ2週間とか。正式には来月からになると思う」

「前の仕事辞めたの？」

「今月で辞めるから、今試用期間みたいな感じで。うちの事務所小さくて、社長もこいつのことはよく知ってるし」

「そっかそっか、元気そうでよかった！心配だったからさー……ほら、入院してたって聞いてたし」

「ご心配お掛けしてすいませんでした」

マネージャーということであれば割と
智哉さんの目の届く所に置いておけるから安心だろう。

「かわいいマネージャーさん付いてくれるなんてええなぁ」

「うちのマネージャーと交換しよ！」

「それはそれでうちのマネージャーがかわいそうだよ(笑)」

楽屋の中にはメンバー以外に
俺らのマネージャー含めてスタッフ数名いるし
俺とAの関係を知らない人がほとんど。
智哉さんの妹であることすら
一応濁されながら会話が進む。
以前から俺らと面識があるということは
話を聞いていればさすがに分かってしまうけど。

「では、後ほど。よろしくお願いしまーす」

龍友くんがAに向かってニコニコと
わざとらしく目を細めて手を振ると、
それに対して可笑しそうに笑って会釈していった。

智哉さんのマネージャーか……忙しそう(笑)
ここ何週間かは2つの仕事を掛け持ってるってことだし
朝早く出ては夜遅く帰ってきて、会えない日が続く訳だ。

「早く仲直りしなよー？」

「だからさー、喧嘩してねえんだって」

亜嵐くんに小突かれたので小突き返すと
気持ち悪い笑顔で更に
「知ってる。誰にも言わないから」と返された。

「……は？」

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