彼女からキスを盗む方法 Ⅴ【Reo】 (ページ50)

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250.手編ページ50

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袋から出てきたのはマフラーで
白いのと、ブルーがかったグレーの2つ。
同じのっていう割には素材も違う。

「違うものじゃん」

「どっちもマフラーだから」

「どっちもはもらえないの？あ、ひとつお前のってこと？」

「違う。あの……こっち……わたしが作ったの」

こっち、と指差したのはグレーの方。
白いのは編み目が細かくて
よく見ると確かにブランドもの。
グレーの方は編み目がわかるタイプのマフラー。

「え！マジ？」

「手編みのマフラーとか恥ずかしくて……いらなかったらこっちもらってくれたらって」

「いる！ちょうだい！よかったらどっちもほしい」

「プレゼントだからあげる。玲於くんいろんなもの持ってるし……何プレゼントしていいか分かんなくて」

「なんでも嬉しいよ」

ブルーグレーのマフラーを首に巻く。
また「どう？」って聞くと「似合ってる」と笑う。

「普通に売り物じゃん。てかいつ作ったの？」

「合間見つけてちょっとずつ編んでた」

「すげー嬉しいわ。ありがとう」

「なんか全然すごいものじゃなくてごめんね」

「これ十分すごいから」

「ありがと。寝よっか」

用意してくれてただけでも嬉しいのに
時間もかけてくれてて、
そして編み物までできるんだなっていう発見もある。
俺ももらったプレゼントを大事にしまってから
ベッドに潜り込んだ。

大きいベッドだけどわざわざ肩くっつけて寝ると
もっと触れたくなってしまう。
でもそんなことしたらこの後寝れなくなりそう。

「……れおくん」

「ん？」

「ちゅーしたい……けどしたら寝れなくなりそう」

「おれも同じこと考えてた」

「ふふ」

「する？」

「……我慢する」

「我慢できんの？」

「できる」

隣を見ると両手で目を隠してて
そんなんで我慢できんのかよってツッコみたくなる。

……まぁ顔見たらしたくなるのは俺も分かる。
出会った頃からそうだったし
そして一度スイッチ入っちゃうと
お互いに止められないのを分かってる。
今はそうなるのが目に見えるから
Aも『我慢する』って言ってるんだと思う。

「じゃあおれも我慢しよ」

「珍しい」

「は？珍しいって何」

「玲於くんのことだから寝かせてくれないかと思った」

「なんだと思ってんの？(笑)」

「ふふ、おやすみ」

「おい、答えろよ！マジで寝かせねえぞ」

「やだ！寝る！」

*