245.正月 ページ45
*
「わー！さみーけど海きれー！」
「ね、いいでしょ？よかった」
寝室から続くベランダに出ると、
Aが言っていた通り、海が見える。
「食べ物用意してくるね」
「おれも行く」
準備とか任せっきりで運転もしてもらってるし
手伝えることあるか分かんないけどついていくと
Aはキッチンの冷蔵庫からお重を出す。
「もしかして、おせち？」
「正解。うちの母、自慢のおせち。そっちの部屋運んでもらってもいい？」
「うん」
和室にあるこたつの上に広げると
一気にお正月！って感じがする。
今日はおせちで1日の食事終わるな、これ。
そしてお母様にお礼しないとだ。
「んま。やっぱりお母様、料理上手だね」
「聞いたらきっと喜ぶよ」
ある程度食べて、残りは夜ってことに。
「あー動きたくねー。こたつ最高だわ」
「ほんとだね」
ふたりして畳の上に寝っ転がって
こたつの中では足が重なってる。
暖かいし畳の匂いがなんだか懐かしくて心地いい。
「やば、寝そう」
「風邪引くよ？」
「こんだけ部屋暖かけりゃ大丈夫でしょ」
「んーまぁ確かに。あ、そういえばアイスあるよ。食べる？」
「食う」
こたつに入って食べる食後のアイス、最高。
こんな至れり尽くせりでいいんだろうか？
正月休み、やっぱりここに連れてきてもらってよかった。
「A？……先寝てんじゃねーか」
畳の上で寝転がったまま
静かになったAを覗くともう寝てた。
疲れたよな、年末も俺と同じように休みなかったし
ここまで運転して来てるわけだし。
幸せそうな寝顔を見ながら俺も眠くなって
そのまま一緒にこたつで寝た。
目が覚めたのは夕方で、Aはまだ寝てた。
「おきろー」
「んぁ……れお……」
そんなかわいい声出すなよ……(笑)
そして夢の中では呼び捨てしてんのかなって
今更ながらちょっと不思議に思う。
「すき……」
「ちょ、もーお前ねぇ」
寝ぼけながら手を引っ張られてそのまますりすり。
猫か、こいつ。
「よしよし」
「んふふ」
頭を撫でると満足そうに微笑む。
マジで猫みてえ。
こいつにはうさぎがいいかなと思ってたけど
猫もいいなぁ……あー何着てもらおう。
*
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2021年1月17日 1時
