239.聖夜 ページ39
*
今日はクリスマスイブ。
寒空の下、自転車を走らせて出勤。
Aは時間的にもう出ていったはずだ。
昼前に智哉さんのSNSが
マネージャーからということで更新されてたし
気に掛けながら、こちらも仕事をする。
スタッフさんやメンバーが買ってきた
ケーキを食べたりしながら
クリスマス感を味わってみたり。
夜、帰ってからラジオをつけて
智哉さんの声を聞きながら作業したりして
Aも頑張ってるかな、なんて考える。
放送中にあった智哉さんの
クリスマスライブを聴いてから寝た。
翌朝、Aから夜中に送られてきてた
メッセージを確認して
この間、俺の写真を見た時のAみたいになる。
《Merry Christmas!》のメッセージと共に
ミニスカサンタ姿のAの写真。しかもヘソ出し。
どういう経緯でこれ撮ってんのか分かんないけど
朝から刺激強すぎでしょ……
このクリスマスプレゼントは誰も予想できないって。
今日は夜、冠番組の生放送がある。
この時間もまだ智哉さんのラジオは続いていて
スケジュール的に入れ違いで帰ってくるだろうし
会いに行っていいのか結構迷う。
メッセージの返信もなんて送ろうか迷ったまま
放置しちゃっててそのまま生放送。
放送を終えてスタジオから楽屋に戻って
スマホを見ると放送終わってすぐくらいに
Aから着信が入っていた。
とりあえず〈なんかあった？〉って返して帰り支度。
メッセージ返ってくるどころか
一向に既読にならなくて
少しだけ不安になりながらも帰宅。
さすがに家にいるだろうなと思って
結局2コ下の階まで降りた。
鍵を開けて進むと、明るいリビングには
ソファーに横になり寝てるA。
テレビがつけっぱなしで、
俺らの生放送を見てたのが分かる。
ソファーの脇に座って
かわいい寝顔にそっと口づけると
うっすらと目を開けた。
「え……？」
「おはよ」
寝ぼけてんなぁ(笑)
目をキョロキョロさせて、首を動かして
状況を把握しようとしてる。
「なんかあったの？」
「ん……？」
「電話、したでしょ」
「あー……ごめん、終わったばっかりだったよね」
「それはいいんだけど、ちょっと心配すんじゃん」
起き上がって手元にあったスマホを確認して
俺が送ったメッセージを見たんだろう、
「ごめん、寝ちゃってて」と返された。
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2021年1月17日 1時
