彼女からキスを盗む方法 Ⅴ【Reo】 (ページ31)

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231.贈物ページ31

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「玲於くんと一緒ならホントに家から出なくても平気だけどね。こっちから行くか聞いといてなんだけど、やっぱり不安だし」

「まぁ俺も年明けふたりで過ごせるだけでいいけど。また『別れてください』とか言われなければ」

「もう大丈夫だって！何かあったら正直に言うから。その言葉、あるなら今度は玲於くんからしかないし」

「お前さー、縁起でもないこと言うなよ」

「……ごめん」

あーあ、泣きそうになってるし。
自分で言った癖に。

「泣くなって」

「まだ泣いてない！」

「まだね(笑)大丈夫だから、心配すんな」

「うん」

「それよりさ、なんか欲しいもんとかないの？」

「欲しいもの？」

「ほら、クリスマスあるし」

去年のクリスマスはまだ付き合ってた割に
特に何もしなかった。
それどころか今までAに
何かプレゼントとかしたことがない。
彼女からも欲しいとか言われないし……
食事連れてって、くらいか。

「欲しいものかぁー……特にないよ」

部屋の物の少なさを見ても物欲がないのか
あとは俺が買わなくても大体手に入ってしまうのか……

「……どした？」

「ううん、なんにも」

「我慢しなくていいから言ってみ？」

「……玲於くん」

「ん？」

「玲於くんがいれば、いい……」

少し俯いて照れてる。かわいい。

「あの、別にクリスマス一緒にいられないのは知ってるし、そういう無理なこと言いたいわけじゃないから！」

「わかってるよ」

「わたしもクリスマスは仕事だし。お兄ちゃんと一緒なの、ホント嫌だけど仕事だし」

「智哉さんかわいそ(笑)」

「あーなんか暑くなってきちゃった！まだ飲む？」

「や、もういい」

「じゃあ片付けちゃうね」と
逃げるようにキッチンへ行ったA。

Aが欲しいもの、なんとなく分かった気がする。
それをカタチにするのは難しいし
正解かどうかは正直分からない。

単なる自己満足かもしれないけど
プレゼントすることで少しでも
俺の気持ちも分かってもらえたら、
伝わればいいなって思った。

クリスマス……は難しいかもだけど
年明けまでに用意しておかないとな。

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