彼女からキスを盗む方法 Ⅴ【Reo】 (ページ15)

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「でもそう思ってたってことは、記憶なくなっててもきっと玲於のこと好きになってたよね？」

「なってたと……思いますよ？」

わざとらしく俺と目を合わせるA。
亜嵐くんも「え？なになに〜」と煽ってくる。

「記憶ないまま付き合い続けるの、玲於くんに悪いなと思ってたし、記憶戻ってからも、もう周りの人に迷惑かけたくなかったんで、別れようと思ってたんです本当は」

「もしかして……あの突き落とされたっていう？」

「そこまでじゃないですけど、背中押された気がしてたので」

「そういや謝ってもらったの？ちゃんと」

「うん。『あんなことするつもりじゃなかった。ごめんなさい』って。退社するときになって、やっとね」

今なんともないからよかったものの
大怪我したり記憶喪失のままだったら
どうするつもりだったんだろ。
俺だったら納得出来ないけど
Aが許してんだからいいのかな。

「辞めるってなって色んな方から残念がってもらえて、嬉しかったですね。家の中、貰い物で大変なことになってます(笑)」

「Aちゃんみんなから好かれそうだもんね」

今、Aの部屋は職場の人や
お世話になった選手からもらったものでいっぱいで
人望が厚くて、好かれてたんだなってのもよく分かる。

「正直モテたでしょ？告白されたりした？」

「いや、そんな！ないですよ」

「正直に答えて！この人気にしなくていいからさ(笑)」

「……ナベは聞いてる」

「それはまあ……」

「え、なに？玲於知ってんの？」

「こいつの幼馴染の、いるんすよ……そいつからのは知ってます」

それ以外にもきっとあるんだろうけど
もちろん聞きたいわけないじゃん。
……それを分かっててこの話題掘り下げてんだろうし。

「玲於くんと付き合ってからは…………」

指を折り始めるA。待って、嘘、そんないるの？

「玲於くんが言ってたのも入れて、4人くらい？」

「え、やば」

「なんか本気なのかな？って人もいましたけどね。会う度に『かわいいですね』とか『好きです』って言ってくる軽い感じの人も入れてですよ？」

「玲於ごめん！泣かないで！(笑)」

「泣いてねぇわ！」

なんかそうなんだろうなって分かってたけど
いざ本人の口から聞くとマジか……ってなる。

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