193.談話 ページ43
*
「話したくないならいいけど、俺らも全然頼ってくれていいからね？」
その場では「うん」としか返せなかった。
やっぱりまだ自分の中でも
気持ちを処理しきれなかったから。
.
数日後、電話で話したように智哉さんをご飯に誘った。
智哉さんは合間を見つけて
毎日Aに会いに行っていた。
「お疲れ」
「お疲れっす」
「ごめんね、忙しいのに」
「気にしないでください、誘ったのこっちだし」
久々に会った智哉さんは少しやつれているように見えた。
SNSも頻繁に更新しなくなって、
ファンからも心配されているらしい。
「来週、退院することになった。リハビリでだいぶ筋力とか体力戻ったみたいだし」
「ほんとっすか？よかったぁ」
「記憶の方がまだだからしばらく通院は必要になりそう」
「……まだ智哉さんのことも分かんないんすか？」
「『お兄ちゃん』って呼んでくれないんだよ、毎日会いに行ってても距離縮めるの難しい」
智哉さんは力なく笑い、
「ごめん」と震えた声で言った後、俯いた。
「このままだったらどうしようって毎日不安で……」
「智哉さんが信じなくてどうすんすか」
「そうなんだけどさ……そうだよね……ごめん」
「……一度しか病院行けてないのにすいません」
「いや、ありがとう。一番不安な思いしてんのはAだよな」
「それにしても階段から落ちたって聞いて、よく骨折れてなかったなって」
「身体中打撲というか痣はすごいできてたらしい。腕とか足とか見える部分は結構痛そうだったし」
その前から小さな怪我が続いていたのを思い出す。
大丈夫、って言ってたけどあれも痛そうだった。
「A、何か言ってた？」
「あー……もし記憶が戻んなかったらわたしのことは忘れて、って言われました。別に気にしないんすけどね、俺は」
「そっか……」
「生きててくれただけでよかったし、思い出だってまた新しく作ってけばいい話だし、記憶なくても関係ないって思います」
「嬉しいなぁ……Aのことそんな……本当にありがとう」
不安なこととか、想いとかを短い時間だったけど
語り合えて少し気持ちが楽になったし
帰り際、智哉さんも同じような事を言ってくれて
誘ってよかったと思った。
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
