189.回復 ページ39
*
病室には機械の動く音と鼻をすする音だけが響く。
心臓は動いてるし呼吸はしていても
このままずっと目を覚まさないんじゃないかとか
覚ましたとして、もしかしたら記憶がなくなってる、
なんてこともあるかもしれないし
つい嫌な想像ばかりしてしまう。
1時間くらいそばにいて、結局俺がいる間に
Aが目を覚ますことはなかった。
そしてその嫌な想像は現実になる。
.
『Aが目を覚ましたって病院から連絡があった』
「まじっすか？！……よかった……」
『これから病院行ってくるから』
智哉さんからそう電話があったのは
Aが病院に運ばれてから5日後のことだった。
「何がよかったの？」
「Aが目を覚ましたって。ホントよかった……」
「え？なに、ずっと寝てたの？(笑)」
会議後だったので
残っていたメンバー何人かに話を聞かれていて
これまでのことを話すと静かに聞いてくれた。
「そんな大事なことなら俺らにも言ってよ」
「俺だって状況よく分かんなかったし」
「まあまあ、意識戻ったならよかったやん」
「大丈夫なん？骨折れたりとか」
「折れてはないみたい。どっか痛いとこはあんのかもしれないけど」
「なんかあったら遠慮しないで言ってよ？」
「玲於は行かなくていいの？病院」
「そりゃ行きたいけど……この後取材あるし、まずは智哉さんに任せます」
その後、合間にスマホを確認すると
智哉さんからメッセージが来ていた。
〔大事な話がある。時間あるとき電話ほしい。〕
大事な話……この短い文だけでただならぬ雰囲気を感じる。
早く聞きたいけどこの後の仕事のことも考えて
今聞くべきじゃないと思った。
仕事を終え家に帰って、
落ち着いて深呼吸してから智哉さんに電話をかける。
5コール目で智哉さんの声が聞こえて
大して待ってないのにコール音がやけに長く感じた。
「すいません、遅くなって」
『いや、大丈夫。ごめんね忙しいのに』
「いえ。どうでした？A」
『……体調は良さそうだった。痛いところはあるみたいだけど』
「よかった」
『ただ……色々と混乱してるようで……記憶がないみたいなんだ』
*
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
