176.縮退 ページ26
*
全然隣に座ろうとしなくって
物理的に距離を置かれてる状況。
「玲於くんかっこよすぎるんだもん……」
彼女に褒められるのはもちろん嬉しいんだけど
ライブを生で観ただけでこんな変わると思わなくて
遂に目まで合わせてくれなくなった。
「いや、前からかっこいいんだけど……」
「あー、もう……いいから早く来いって」
腕を引っ張って隣に座らせると
借りてきた猫のように縮こまってる。
「ふは、なに緊張してんの？」
「なんか……大丈夫だと思ってたんだけど、大丈夫じゃなかった」
「何が」
「ごめん、なんでもない。忘れて」
「何が大丈夫じゃなかったの」
「ホントになんでもないから」
「……言って？こっちが不安になる」
そう言ってAの膝の上にある手を握ると
驚いたのかやっと俺の顔を見てくれた。
「玲於くんも不安になるんだ……」
「いや、いっつも心配してんじゃん。お前無理するから」
「ごめんなさい……」
「それは別にいいんだって。こっちも好きで心配してるから。で、何があった？」
Aはまた下を向いてゆっくり話し始めた。
「……ステージに立って踊ってる姿、とってもかっこよかったの。お仕事してる姿見れて嬉しかった。でもなんか遠く感じちゃって……玲於くんのこと好きな人だってたくさんいるし、わたしなんか……」
「ごめん、その先は聞きたくない。俺から聞いといてなんだけど、言うな」
「……っ、楽しかった。もちろん楽しかったけど純粋に見られなかった……」
Aの手に重ねた、俺の手の甲に涙が落ちてくる。
ライブ中泣いたっていうその理由は
単に感動してとかだけじゃない気がした。
「ごめん、なさ、っ……もうやだ……」
「俺も、Aが仕事してる時とか出張行ってる時とかすげぇ不安になる。色んな人から声掛けられて、食事誘われたりしてるの見てると、お前が誰かに取られてどっか行っちゃうんじゃないかって思う」
「どこにも……っ」
「行くな。もうどこにも行くな」
「自信ないよ。やっぱり玲於くんの隣にいていいわけ、っ……！」
聞きたくない。そしてそんなこと思わないでほしい。
その一心で気付いたらAを押し倒して唇を塞いでいた。
「っ……ごめん、帰る。帰ります。離してください」
「……ごめん」
「ちょっと頭冷やします。お邪魔しました」
Aは泣きながら部屋を出ていった。
またやってしまった。
なんでこう……うまくいかないんだろう。
*
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
