110.遊戯 ページ10
*
そんなうさちゃんがうちに来たのは
うさぎに似てるなんて話をした1週間後だった。
「お邪魔しまーす……わ！久しぶり！元気だった？」
俺じゃなくてぬいぐるみに話しかけてる。
前来たときも気に入ってたもんな、それ。
「はい、玲於くんお土産どうぞ」
「ん、ありがと。そっちは？」
お土産は福岡で有名なお菓子。
Aはそれとは別にもう一つ紙袋を持っている。
「これ？今日の夜ご飯に、と思って」
「作ってくれんの？」
「うん。キッチン借りていい？」
袋から出てきたのは博多ラーメンのセットだった。
「んー、んま」
「よかった。おいしいね」
Aが作ってくれて満足。
ご飯の後は俺がゲームしてるのをひたすら見てた。
「……やってみる？」
「ううん、いい」
「そう……」
退屈じゃないのかな、って思ってたけど
なんなら俺より真剣に画面を見てて、
時折小さい声で「ほぉ……」とか聞こえてくるので
ちょっとかわいい。
「Aはゲームとかしないの？見たことねえけど」
「やるよ。音ゲーと野球ゲーム」
なんでも、野球ゲームは小さい頃から
お父さんに叩き込まれたので強いらしい。
「今度対戦しよっか？」
「メンさんとかとやったほうがいいんじゃない……」
「そう？」
「……終わり。風呂入ろ。準備して」
「うん」
いつからか一緒に入るのが当たり前で
文句もあまり言われなくなった。
……ちゃんとAとの約束を守って我慢してるからだろう。
「うさちゃん、早く」
「ねぇ、わたしいつからうさちゃんになったの？」
「うさぎなんだからいいじゃん」
まあ呼びながら少しばかり
先輩が頭をよぎる節はあるのだが……
「ぴょん太とかの方がいい？ぴょん太ちゃん」
「ぴょん太ちゃん？かわいくないし！」
「ぴょん子ちゃんか」
「……もうお風呂一緒に入んないよ？」
「……Aちゃん」
「なんですか、玲於くん」
「早くこ……来てください」
「はぁい」
これ以上言うと怒られるのを察知してやめた。
相変わらず綺麗な肌、
身体をしていてついつい触ってしまう。
場所を選んで間違えなければ怒られない。
「玲於くん」
「なに？」
「玲於くんばっかりずるい……」
「なにが？」
「わたしも触りたいのに」
「え？」
*
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年10月17日 7時
