彼女からキスを盗む方法 Ⅲ【Reo】 (ページ8)

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108.自信ページ8

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「そういえば顔合わせしてきたんでしょ？亜嵐くん」

「あー、うん」

「どうでした？あずきちゃん」

「あずきちゃん？めちゃくちゃ胸デカかったよ！」

「え、触った？」

「触るわけないじゃん！触れるわけ！(笑)」

撮影の合間、休憩中にメンバーでそんな話が始まる。

「でも絡みあるでしょ？役柄的に」

「あるある」

「キスシーンは？」

「今のところないね。まだ序盤の台本しかもらってないし」

亜嵐くんは今回主役ではないんだけど
主人公とライバルになるサラリーマンの役で
脇山さんはその同僚役だから
きっと撮影は一緒のことが多いだろう。

「それなに？」

「これ？お守り」

「よく見たらAちゃんやん。本物？」

「ちゃんと販売されてたやつだよ。サインもこの間書いてもらったし」

Aのチアのカードをちょっと財布から出して
眺めてたのを涼太くんに見つかった。

「玲於の推しだ？」

「そう。いいでしょ。この世に1枚しかないから」

「ホントだ、“玲於くんへ”って書いてある。もうこういうのはやらないの？Aちゃん」

「やんないと思うよ。……向いてないって言ってたし」

『表に出る仕事はわたしには向いてない』

そう言った彼女の横顔が思い出される。

「そうなんだ。ふたりでいる時ってずっとキスしてるの？」

「してるわけないでしょ、ずっとしてたらやばいよ」

「はは、そうだよね。でも飽きないんでしょ？」

「飽きないね、なんか分かんないけどお互いに惹かれ合ってるというか……付き合う前から変わんない」

「随分と幸せそうで」

何も考えずにお互いに求め合うことだけできれば
俺の右に出る者はいない、そんな自信があるのに

他の要素が加わるとそれでもAは俺を選んでくれるのか
途端に不安になってくる。付き合ってるのに。

「……そうでもないの？」

「……え？」

「玲於、Aちゃんとあずきちゃんって仲良いの？」

メンさんに急に話を振られる。
俺と涼太くん以外でまださっきの話は続いていたらしく
おそらくチアを一緒にやってた話になったんだろう。

「多分仲良いと思う。前、飲みに行ってたみたいだし」

「やっぱそうなんだ」

何かAに聞いてこいとか言われるかと思ったけど
ちょうど撮影が再開になって
その後、脇山さんの話になることはなかった。

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