彼女からキスを盗む方法 Ⅲ【Reo】 (ページ4)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:82,777 hit

104.待望ページ4

*

Aを見てたらそんなはずないの分かるのに
智哉さんが車の中で話してくれたことが理解できて
そういうのが幼少の頃からあるんだろう。
境遇のせいで色々言われるのはおかしい。

彼女について悪い書き込みを見るのは
やっぱりいい気はしなくてすぐに見るのをやめた。

.

「玲於くん！待ってた！」

「なに？」

「え？」

「『え？』って……俺のこと待ってたんでしょ？」

「うん。待ってた」

「何かあるの？」

「え？何もないけど……」

「なにそれ」

俺が合鍵で開けて入ると玄関まで飛んできたくせに……
何かあんのかと思ったら
別にそういうわけではないらしい。

「何かしたほうがよかった……？」

「そうじゃなくて……走ってきたから何かあんのかと」

「ん……？あー……早く会いたかったから……」

話が噛み合わないと思ったら
Aの口から出た理由が素直すぎて
しかも自分で言って照れてるし
目を合わせてくれなくなる。

「……お荷物お持ちしましょうか？」

「結構です」

「失礼致しました……」

少しの沈黙の後、ふ、と思わず笑ってしまった。

「いいから早く上がって！」

相当恥ずかしいのか背を向けて先に行ってしまうので
靴を脱いでその背中を追って部屋に入る。

「Aちゃん待ってー」

「やだ」

「俺に早く会いたかったんじゃないの？」

「会いたかった……」

「おわっ」

急に止まって振り返って抱きついてくる。

「……酔ってる？」

「……玲於くんにね」

「俺も」

「ナルシスト……？」

「ばか、ちげえよ」

「ふふ、分かってるよ。ありがと」

「お酒は飲んでない！」って強く言われてしまった。
酔ってる時もっと酒くさいから分かるよ、さすがに。

「お風呂にする？沸いてるよ」

「じゃあ入りますか」

「いってらっしゃい」

「一緒に入んないの？」

「入るよ。先入ってて」

「ほーい」

先に入ったので湯船に浸かって
Aが洗うのを見ていた。

「いいね」

「なにが？」

「体重とか戻ったんじゃない？」

「見て分かるの？」

「さっき触ってるし」

「あー……(笑)多分体調崩してた時からは太ったよ」

「それでよし」

「じゃあ入るのでそこ空けてくださーい」

*