彼女からキスを盗む方法 Ⅲ【Reo】 (ページ2)

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102.不安ページ2

*

朝から仕事してAの実家に行ったわけだし
帰ってきてからどっと疲れが押し寄せてくる。
思ったより緊張してたみたいだ。

Aのサイン入りカードを
大事に財布の中にしまっておく。
お守りみたいに。

Aのお父さんからは別れろ！とか言われなかったし
これで不安もなくなって一緒にいられる……はず。

テレビをつければちょうどプロ野球の話題で
田鍋遥が映ってて嫌がらせにすら思えてくる。

会ったこともないし、
Aのこと疑ってるわけじゃないけど
コイツにはなんだか負けたくない。
そもそも土俵が違うのは分かってる。
それでも勝手にライバルのように感じる。

Aが俺のことを好きでいてくれてるのは
よく伝わってくるし、不安になる必要なんて
ないのかもしれないけど……

.

「玲於！昨日どうだった？」

「あー……それが…………大丈夫でした」

「ちょっと！溜めないでよ！ダメだったかと思うじゃん！」

智哉さんと仲いい亜嵐くんには
今回の件について話が通ってて、
会うなりすぐに昨日のことを聞かれる。

「でもよかったね！智哉くん前不穏なこと言ってたし(笑)」

「ちゃんとご両親に『いつでも来ていい』って言ってもらったし大丈夫でしょ」

「玲於にとっても不安なくなってよかったんじゃない？」

「そーだね……」

「何、まだ何か不安なことでもあんの？」

「や、別に？ほら、亜嵐くん呼ばれてるよ」

「え？あ、はーい！今行きます」

なんかまだモヤモヤするのはなぜだろう。
早くAに会ってそんな気持ちをなくしたい。

「え！いいな〜あずきちゃん会ったの？俺も会ってみたい」

「たまたま撮影してたスタジオ隣だっただけだからね」

「え！え！脚長かった？」

「長かった」

「会ってみたいけど絶対隣並べないわ(笑)亜嵐くん仲良くなってきてくれないかな〜」

隼と涼太くんが話している。
あずきちゃん……Aのチア時代の先輩か。

最近はモデルやCM出演だけじゃなくて
ドラマや映画にも出るようになってよくテレビで見る。
そして次に亜嵐くんが出るドラマにも
出演することが決定している。

メンさんと裕太くんも会話に入る。

「あずきちゃん？最近よく見るよね」

「あの子ってハーフなん？」

「確かクォーターじゃなかった？ヨーロッパの方の」

「おじいちゃんがフランス人らしいよ」

*