とあるモブ主人公の受難ー1 ページ18
それは、コミパイベントが無事に終了した数日後のことだった。
「…ってわけだったりするので、お願いできないかな？」
ハーツラビュル寮のとある3年の自室にて、ベッドにはその部屋の主が座っていた。そして向かいには彼の後輩でもあるAとスズキの姿があった。
「いや、ってわけだったりするのでって言われましても…全く話の筋が分からないんですが」
「というか、どうして俺たちは先輩の部屋へ連れてこられたんですか？」
偶々部屋の前を通り過ぎていただけなのだが。丁度彼が部屋の扉を開けたところで、Aたちは軽く会釈をしながら挨拶を済ます。そこまではよかったのだが、何を思ったのか先輩は2人の腕を掴むと自分の部屋へと引き摺り入れたのだった。
「いや実はな。2人には折り入って頼みがあるんだよ」
「頼み…」
「ですか？」
急に真剣な表情に変わる先輩に、2人もごくりと唾を飲み込む。
「頼む！絵のモデルになってくれないか？」
パン、と両手を合わせてお願いしてきた先輩に、Aたちはポカンとしてしまう。
「え…絵の、モデル？」
「どういうことなんですか？」
「実はな…俺は“同人作家”でもあるんだよ」
「…は？」
「…は？」
先輩の唐突な発言に2人はますますついて行けないでいる。
「あ、同人って意味わかる？まあ簡潔に言えば、同じ趣味を持った者同士が集まって創作したりする集団ってわけだ。今だと漫画やアニメ、ゲームなんか二次創作やオリジナル作品なんかをつくったりしてるな」
「は、はあ…」
どうやらスズキは未だ理解できていないようだ。反対にAは何とも言えない表情をしていた。
まさか、この世界にも同人が存在していたとは。
以前の世界でもイベントには行った経験はなかったが、そういった作品をネットなどで購入したことがあった。要は、そういった世界に足を踏み入れていたということだ。
「俺も大分前からそこで自分の作品なんかつくってイベントに出したりしていたんだが…実はこの間のイベントで大きな失態を犯してしまってな」
「失態？」
先輩はばつが悪そうにして頬を掻く。
「まあ、本来出すはずだった原稿の入ったパソコンに運悪くコーラを零してしまってな。慌てて拭き取って中身を確認しようとしたんだが、結局パソコンは起動しないままデータ全部が飛んじまったわけ」
う、うわあ〜…
想像するだけでもゾッとする話だな、と思う2人だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フウカ(プロフ) - ゆうぺぺさん» コメントありがとうございます！また体調にも気を遣って頂き嬉しい限りです。これからも頑張って更新していきます。 (2021年12月3日 23時) (
レス) id: 5e636c9530 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうぺぺ - 更新ありがとうございます！また、面白そうなお話ですね、リドルくんがいない中どうなるのか、楽しみです！！ 体調にお気をつけて更新頑張ってください (2021年12月3日 19時) (レス) id: 1e7c50770b (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - ゆうぺぺさん» コメントありがとうございます。こういった評価を頂いて嬉しい限りです!!これからも頑張ります！ (2021年8月9日 15時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうぺぺ - 続編おめでとうございます！！今回の番外編もとても面白かったです！ジェイドさん、、頑張れ！本編の方もとても読みやすく、面白いです！これからも自分のペースで頑張ってください！！ (2021年8月8日 19時) (レス) id: cad7fa7d96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フウカ | 作者ホームページ：http naru1
作成日時：2021年7月12日 20時
