166話 ページ20
「本当に嫌になるぐらいなら、さっさとあんな主捨てて逃げればよかったじゃないですか」
「逃げれば、だと？そんなもの、俺だってもっと早く逃げたかったさ！だが、俺の一族はずっと昔っからカリムの家に仕えてきた。逃げるということは重罪にも等しかったんだぞ!!」
「一族がなんだっていうんです！殺したいぐらい本気で嫌な主なら、何もかも捨てる覚悟で裏切るでしょうが!!」
放たれる光線をなんとか躱しつつ、火薬玉を投げつけた。
玉を振り落とそうと怪物が腕を振り上げるも、それよりも火薬玉が爆発する。
バイパー先輩は顔を覆うようにして両腕で熱を防いだ。
「けど、貴方はそれをしなかった。一族や自身の立場を言い訳にしてまで、ずっとカリム先輩の傍にいた。この意味が分かりますか？」
バイパー先輩の目に暗い苛立ちが生まれる。そこから放たれる不穏な空気を敏感に感じ取るも私は恐る恐る口を開く。
「バイパー先輩。貴方はカリム先輩のことを…」
「黙れっていってるだろうが!!!」
憎悪と醜悪に満ちた気が、周囲をびりびりと震わせた。
頂点に達した怒りに任せ、先輩は猛然と反撃に出る。
談話室からは武器と魔法の激しい攻防戦が響き渡っていた。
互いに荒い呼吸を繰り返しながらも、間合いを取り、睨み合いながら再び己の力をぶつけ合った。
「これでもくらいな！」
懐から取り出し、投げつけたのは小さな火薬玉。
既に玉の仕組みを見切った先輩は、爆発よりも先に杖で弾き返した。
「フッ、何度も同じ技を繰り返したって意味が…なにっ!?」
弾かれた玉は空中で爆発する。だが火花が飛び散るわけでもなく、周囲に灰色の煙が巻かれた。
「煙か…ぐっ、ゴホッ…ゲホッ…鼻と目が沁みて…ぐうっ…!!??」
闇堕ちしたキングスカラー先輩ですら苦しんだモッパンだ。海の中ではない以上、効果は抜群である。
この隙に。
モッパンの煙に気を取られているうちに、駆け足で先輩の後方へと回り込む。
力強く跳躍し、殺気を抑え、苦無の切っ先をただ真っ直ぐに先輩の首筋へと目掛ける。
狙うは一点のみ。
だが、いきなり両手で顔を覆う先輩がこちらへ向き直った。
その口元からは歪めたような笑みがあった。
「バーカ。そんな手通用するかよ」
「!?」
咄嗟にギリギリのところで苦無を止めてしまう。
その隙を狙ってか、背後にいる怪物の腕が凄まじい力で私の腰のあたりを薙ぎ払った。
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フウカ(プロフ) - 迅さん» コメントありがとうございます。ゲームが進み次第、随時更新していきます。これからも頑張ります！ (2020年9月24日 20時) (
レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
迅 - 番外編もこのシリーズも一気読みさせていただきました。読みやすい文章でサラサラと時間を忘れて読んでしまいました。ツイステもついに5章！更新頑張って下さい！ (2020年9月24日 18時) (レス) id: 7c87ff4c21 (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - パルズさん» コメントありがとうございます。初めてそんなことを言われたので、ものすごく嬉しいです!!これからも、頑張って更新していきます。 (2020年8月19日 23時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
パルズ - 一気読みしました！読んでてわかったんですけど、物語書くの上手ですね！読みやすいですし、表現が分かりやすくて文才があるんですね！これから更新頑張って下さい！ (2020年8月19日 23時) (レス) id: 51ed3ca6ee (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます。こういったコメントを頂けるだけで嬉しい限りです！これからも頑張ります！ (2020年8月15日 19時) (レス) id: 24bde02993 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フウカ | 作者ホームページ：http naru1
作成日時：2020年8月6日 15時
