158話 ページ12
廊下の奥から複数の足音を響かせながらスカラビアの寮生たちが駆け寄ってきた。
「ジャミル副寮長、今のお話しは本当なんですか?」
「今までずっと、寮長や僕たちを騙していたと…!?」
寮生たちは戸惑いの声を上げながら、先輩を見つめる。
「いい人ぶっておいて、ひでぇヤツ!とんだ嘘つき野郎なんだゾ!」
騙していたことにご立腹な様子のグリムは、「嘘つきはサイテーなんだゾ!!」と文句を言い続ける。
「そ、それは…、違う、俺は…っ」
バイパー先輩は必死で弁解しようとするが、誰も先輩の話を聞いてくれない。
「もう言い逃れは出来ませんよ。アズールに使った洗脳魔法が動かぬ証拠。ジャミルさん…」
一旦間を置くと、ジェイド先輩はビシッ、と先輩を指差す。
「貴方こそユニーク魔法でカリムさんを操りスカラビアを混乱に招き入れた黒幕だ!」
「…ッ!」
バイパー先輩は怒りのあまり奥歯をぎりりと嚙み締める。が、直ぐに居心地悪そうに苦笑いする。
「事を荒立てるつもりはなかったが…こうなれば仕方ない。アズール!命令だ!コイツら全員捻じ伏せて、拘束しろ」
「…はい、ご主人様」
先輩はすぐさまアーシェングロット先輩に命令を下す。
アーシェングロット先輩は従うように杖を取り出すと、私たちに向けてきた。
「くっ…、アズール!いけません。正気に戻りなさい」
「呼びかけなど無駄だ!」
ジェイド先輩は必死で先輩に呼び掛けるが、当の本人は聞く耳をもたない。
声に応じない先輩をバイパー先輩は嘲笑いする。
「はい。僕は、ジャミル先輩の忠実な下僕…―な、わけないじゃないですか」
アーシェングロット先輩は杖を下げると、不敵な笑みをバイパー先輩に見せつけた。
「…なにっ!?」
そんな馬鹿な…とでも言うようにバイパー先輩は激しく動揺する。
つい先程まで従属していたというのに、目の前の男は平然とした様子で告げてきた。
「ジャミルさん、さきほどのお言葉そのままあなたにお返ししますよ。僕を“傲慢な魔法士”と思って油断していましたね。熟慮の精神をモットーとするスカラビアの副寮長ともあろう者が、ザマァない」
アズール先輩はゴミを見るかのように先輩を嘲笑った。
「どういうことだっ?確実に目を見て、洗脳したはず…!」
狼狽える先輩にアーシェングロット先輩は眼鏡に手をやり、フッと微笑む。
「僕はいつでも万全の対策を練ってから行動を起こす堅実な魔法士ですから。ねえフロイド」
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フウカ(プロフ) - 迅さん» コメントありがとうございます。ゲームが進み次第、随時更新していきます。これからも頑張ります! (2020年9月24日 20時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
迅 - 番外編もこのシリーズも一気読みさせていただきました。読みやすい文章でサラサラと時間を忘れて読んでしまいました。ツイステもついに5章!更新頑張って下さい! (2020年9月24日 18時) (レス) id: 7c87ff4c21 (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - パルズさん» コメントありがとうございます。初めてそんなことを言われたので、ものすごく嬉しいです!!これからも、頑張って更新していきます。 (2020年8月19日 23時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
パルズ - 一気読みしました!読んでてわかったんですけど、物語書くの上手ですね!読みやすいですし、表現が分かりやすくて文才があるんですね!これから更新頑張って下さい! (2020年8月19日 23時) (レス) id: 51ed3ca6ee (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます。こういったコメントを頂けるだけで嬉しい限りです!これからも頑張ります! (2020年8月15日 19時) (レス) id: 24bde02993 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フウカ | 作者ホームページ:http naru1
作成日時:2020年8月6日 15時