【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ9)

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645話ページ9

シェーンハイト先輩が驚きの声を上げる。

『『冥府』の門が開いていく！今の呪文……まさか、イデアのユニーク魔法の効果は『冥府』の門を開くこと……!?』

あれがユニーク魔法？
今まで目にしたユニーク魔法は攻撃や防御、身体の強化、精神の操るものなどがありましたが、まさか『冥府』の門を開くといった大掛かりな魔法まで存在していたとは。

呆然とその光景を眺めていると、完全に開かれた『冥府』から巨大な物体が飛び出してきた。
髑髏の付いた黒い布を身に纏い、首元には黒い毛皮が巻かれ、そこから青い炎が噴き出している。
今までの怪物と同じく硝子細工の頭部には複雑な装飾で縁取られた王冠が乗せられており、その風貌は学園で目にしたグレートセブンの1人、死者の国の王に近いものだった。

唯一違うとすれば―

【やあ、みんな―ただいま！】

怪物から明るい声が上がる。
まさか怪物が言葉を発するとは。
その声に似つかわしくない風貌に、エペルくんはひどく驚く。

『な……なんだあの、でっただの！』

『イデアから溢れたブロットと繋がっている。おそらく、イデアのファントムよ』

シェーンハイト先輩の言う通り、怪物は引き寄せられるかのようにシュラウド先輩の背後へと控える。
ついに一つとなった先輩たちに、シェーンハイト先輩は疑問の声を上げる。

『でも、『ただいま』って？それに、この声どこかで……』

そう、普段から耳にしている声だ。
周囲も同様に誰の声なんだと疑念を抱いていると、怪物は明るい声で言った。

【わからない？僕だよ。

オルトさ！】

その名を口にした瞬間、寮長たちの表情が一気に張り詰めた。

オルト・シュラウド。
イデア・シュラウドの『弟』であり、常に兄と行動を共にしている少年。
内気な兄とは対照的に明るく素直な少年で、どこか幼さを垣間見せていた。
しかしその姿は普通の“人間”とは違う、どこか機械的な姿をしている。一部の生徒からはロボットではないのかと噂されていた。

その少年が今、巨大な怪物となって目の前にいる。

『なん、ですって……!?』

信じられないものを見たかのような声でシェーンハイト先輩が言った。

【どう？僕、大きくなったでしょう？『冥府』で友だちになったみんなが、僕をこんなに大きく育ててくれたんだ】

見て見てとオルトくんは嬉しそうに披露するが、その姿はあまりにもおぞましく不気味でしかない。