【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ8)

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644話ページ8

異形の存在と化したシュラウド先輩に、皆が呆然とその場に立ち尽くしてしまう。
トランシーバーの機械音に紛れて、シェーンハイト先輩が震える声で言った。

『アンタ、その姿は!?』

その姿はさながらイグニハイドを表すかのような姿をしていた。
カローンのような分厚い装甲を身に纏い、どこか絡繰りに近い機械的な風貌をしている。
膝近くまで届くほどの長い髪は頭部を覆う兜に収まっており、炎のように逆立っていた。
肘部分からは髪色と同じ青い炎が噴き出し、右目も同様青い炎を灯している。
そして顔全体も兜で覆われ、素肌を晒しているのは目元のみ。口元を覆う部分には彼の特徴でもあるギザギザの歯が映し出されていた。

シュラウド先輩は酔いしれたように自身の姿を見せつける。

「どう？いい趣味だろ？もうねぇ、最高の気分！オーバブロットって、こんなにスカッと爽快な気分になれるものだとは思わなかったっすわ！これで拙者もSSR〔前代未聞の問題児〕の仲間入りってワケ！アハハハハハハ！」

狂った笑い声が冥府に響く。
先輩の背後にある冥府の門からは、黒い靄のようなものがもくもくと溢れ出していた。

『『冥府』の門からどんどん瘴気が吹き上がってくる！なんて濃度だ……！ゲホゲホッ……！』

ハント先輩が苦し気に咳き込む。
扉が開け放たれたままなため、数分も経たないうちに地下はブロットに覆われていく。
周囲がブロットで苦しむ中、シュラウド先輩は得意げに言った。

「あー君らはちょっとムカムカするかもね。でもオーバブロットしていれば、ブロット(デバフ)はバフに変わる。ってわけで拙者は今、バフ盛り盛りのATK(アタック)マシマシ。君らにもう勝ち目はない。ご愁傷さま！」

一般の魔法士にしてみればブロットは病原体のような存在だ。しかしオーバブロットをしている先輩にしてみれば影響など何も受けていない。まさにブロットの瘴気は空気に近い存在である。

「それじゃあ、はじめよう。『ゲーム・セット・マッチ……開かれた冥界の扉(ゲート・トゥ・アンダーワールド)』」

しんと静まり返った声で先輩が告げる。
今のは……詠唱？

すると、僅かに開いていた冥府の門がミシミシと大きな音を立てて開き始めていく。
扉の隙間が広がっていくにつれて、門の向こうから不気味な声が響き渡った。