【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ34)

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670話ページ34

「ヴィルーーーーーー!!!」

先輩の叫びも虚しく、シェーンハイト先輩は『冥府』へと突っ込んでいく。
皆が呆然とする中、ついに先輩の姿は『冥府』の沼へと姿を消す。
その姿を目の当たりにした途端、言葉を失っていたユウくんが慌てて叫ぶ。

「エペル、チャリオットを『冥府』まで寄せて！」

「ふえっ!?」

唐突な指示にエペルは間の抜けた声を発してしまう。

「『冥府』に引き寄せるってどういう……」

ユウくんの意図が分からない彼は戸惑った様子で見つめ返す。
しかしそれを瞬時に理解した者がいた。

「そうか。そういうことか……エペルくん、急いで『チャリオット』を動かすんだ」

ハント先輩も同じく機体を動かすようエペルくんを急かす。
未だ理解できずにいる彼に、先輩は早口で説明する。

「今なら彼らを引き上げることができるかもしれない」

「！そうか……分かりました！」

ようやくその意味を理解したエペルくんは、すぐさま機体の操縦を始める。
浮上したままの『チャリオット』がガタン、と音を立てて動き始めた。

目指す先は彼らのいる『冥府』。

機体がゆっくりと下降していき、『冥府』の門まで辿り着いた。
開け放たれたままの門の扉だが、その隙間から怨霊の悲鳴が流れていく。

「ヴィル、こっちに手を伸ばすんだ！」

ハント先輩は自らの身体を手摺の外へ出すと、片手で手摺を掴んだままもう片方の手を『冥府』へと伸ばす。

本当に先輩たちは戻って来るのだろうか。
半信半疑のままその行く末を見守っていると、扉の先から人の姿らしきものを目にする。

あれは……

必死に目を凝らしていると、その姿がだんだんはっきりとしていく。
それは紛れもなく人であり、そして―

「ヴィル先輩！」

傍らにいたユウくんが叫んだ。

ポムフィオーレの寮服を身に付けた人物がこちらに向かって手を伸ばしている。
伸ばした手とは反対に、彼の腰元に大きな人物が抱えられていた。
間違いない、シュラウド先輩だ。

両足を必死にばたつかせながらシェーンハイト先輩は必死に『冥府』を抜け出そうとしていた。
後少しで彼の手が届く。
ギリギリのところで手を伸ばすが、なかなか届かずにいた。

「エペルくん、もっと引き寄せるんだ！」

「分かってますけど、これ以上はもう限界です……」

なんとか引き寄せられないかとハント先輩は求めるが、機体も限界を迎えているのだろう、エペルくんが顔を歪ませたまま言った。