【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ27)

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663話ページ27

「オルト……オルト！大丈夫？」

【兄ちゃん……うう、大丈夫だよ。まだ身体がビリビリして上手く動かせないけど】

2組の攻撃の後遺症か、オルトくんは地べたにへたり込んだまま兄に大丈夫と伝える。
安心してと弟は告げるが、その震える声に兄は深く心を痛めた。

「『雷霆の槍』……倉庫の隅で埃かぶってるガラクタだと思ってたけど、これほど厄介なシロモノだとは」

【『S.T.Y.X(ステュークス)』製の魔導アームズと違って、古(いにしえ)の魔法道具は僕のコントロール下にはおけない。あの槍を持ち出してくるなんて、盲点だったよ。さらに自分たちの魔力を直接槍に充填して、威力をあげてくるなんて】

「チッ……これだからゴリ押しの脳筋プレイヤーは嫌いなんだ！」

【向こうがゴリ押しプレイするなら、こっちもパワーで押し切ろう】

力と力で戦う。その案にシュラウド先輩は正直乗り気ではないようだ。
不安そうな表情を見せる兄に、オルトくんは励ますように言った。

【大丈夫。このボディは超パワータイプだ。それに……僕、兄ちゃんと一緒なら負ける気がしないよ】

オルトくんはグッ、と両拳を握り、大丈夫と意思を見せる。
弟の健気な思いに胸打たれ。シュラウド先輩は優しい手つきでオルトくんの頬を撫でた。

「……『タルタロス』の出口までもうすぐだ。頑張れる？」

【もちろんさ。友だちもみんな、まだまだやれるって】

彼の言う“友だち”というのは恐らく、オルトくんと一体化している奴らのことだ。

【オソト……モウスグ……オソト……ヤット……ウレシイ……ウレシイ……】

自由を手にする喜びが溢れる中、その声に混じって別の声が響く。

「グゥ……ウウ……イシ……」

石を求めて彷徨うグリムの声だ。

「行こうオルト」

【うん、兄ちゃん】

兄弟は仲良く手を取り合い、共に出口へと目指す。
再び動き出したオルトたちに、キングスカラー先輩は苛立ちの舌打ちをする。

「チッ。動き出しやがったか」

「とはいえ、最初の頃に比べますと動きは鈍っています。後もう一撃入れば倒せるはずです」

チャリオットを操縦しながらバイパー先輩は言った。
後一撃。残りの『雷霆の槍』を使用出来るのはシェーンハイト先輩たちのチームのみ。

大丈夫。きっと彼らがやってくれるはずです。
その気持ちが溢れたのか、無意識に手摺を握っていた力が籠る。

きっとだいじょう……
ガン、と鈍い音がした。