【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ25)

今日:27 hit、昨日:69 hit、合計:7,307 hit

661話ページ25

「だいえんねつの、や？」

大炎熱って、確か八大地獄のうちの一つにある地獄ではなかったでしょうか。
え、ではあの矢は……

「Aの想像通り、あの矢は大炎熱地獄の炎で作られた矢だ。まあ、俺もそんなものがあるとは思わなかったけどな」

私が思っていたことをスズキくんは淡々と口にする。
かつて極東には地獄の炎で作られた武器があるという言い伝えがあった。その武器で致命傷を負うと、地獄の炎で焼かれるような痛みが襲い掛かってくるという。
書物では過去に存在していたと書かれていたが、実際にそれらを目にすることはほとんどないに等しい。最早伝説上の武器ではないかと噂されていた。

まさか、あの矢が本当に大炎熱の矢？
半信半疑になる中、何故スズキくんは瞬時に例の矢が地獄の武器だと見分けたのでしょうか。

その答えを聞こうと震える唇を開きかけた時だった。

「よくも……よくもオルトを…………僕の弟を!!」

地の底からわき上がるような低い声でシュラウド先輩が叫ぶ。
愛する弟が傷ついたことで、兄の怒りは頂点に達していた。
先輩が鋭い眼光で私たちを見下ろす。あまりの気迫にこちらも狼狽してしまう。

「殺してやる！」

先輩は両手を広げると、手の平から炎を召喚する。
両手の炎とともに先輩の髪色も赤色へと変化し、その姿はさながら“怒り”を表しているようだった。
すぐさま防御魔法を張らなくては。そう思ったのも束の間、

「お前ら、よくやった」

頭上からキングスカラー先輩が響く。
よく知ったその声に、絶望しかけていた私と、そして目を丸くしたシュラウド先輩が同時に声のした方向を見る。
その先には眩い閃光と、バチバチと激しい音を立てる『雷霆の槍』があった。

「「はああああああああああああ!!!!」」

キングスカラー先輩たちの叫びとともに槍の先端から眩い閃光が放たれる。
大炎熱の矢によって苦しんでいるところに更なる追い打ちが重なった。
守りもできないままオルトくんは真っ向から雷霆の攻撃を受けてしまう。

【わあああああああ!!!】

「オルト!!!」

また目の前で弟が傷付けられた。
あまりの衝撃に両手に構えていた炎が呆気なく消え去る。
力なくよろけたオルトくんが、ぐったりとその場に崩れ落ちていく。
その様子を目の当たりにしたことで、シュラウド先輩の怒りがさらに増す。

「虫けらどもがァ!1度ならず2度までも！許さないぞ!!」

怒りに身を任せたまま先輩は吐き捨てるように言った。