654話 ページ18
「アズールのことだ。あの場に残ると決めた時から、リドルが力を使い果たしてしまうことを想定していたんでしょう。リドルは学年主席の優等生であると同時に、1度火がつけば止まらない
さらりと問題発言を言ってのけたジャミルに、レオナは若干引く。
コイツ、本人が近くにいないのを良いことに容赦ないな。
しかし、同学年ということもあってリドルの性格をしっかり熟知している。
アズール程ではないが、敵に回すとかなり厄介な相手ではあるとレオナは瞬時に認識した。
「だが……奴らがそこそこ時間を稼いでくれたおかげで、このあたりにいた雑魚ファントムはおおかた砂にできた」
レオナたちの周囲には『冥府』から出てきたファントムたちがうようよといる―わけではなく、辺り一帯砂ばかりが残されていた。
風に吹かれて砂が地下へと舞う。まるで元の場所へと導かれるように砂と化したファントムたちは『冥府』戻っていく。
「これであの“デカブツ”との取っ組み合いに集中できそうだ」
デカブツとはシュラウド兄弟のことを指しているのだろう。
今までの恨みも含めてたっぷりお返ししないとな、とレオナは不適な笑みを作る。
一方のジャミルは周囲を見渡しながらレオナに問いかけた。
「『S.T.Y.X』のスタッフたちは全員、第1層のハッチへ救援に向かわせましたが……この場を放棄させてよかったんですか?」
「あのチンタラしたペースじゃ、イデアたちが
だろ?と、レオナは問い返す。
それを聞いてジャミルは無言で頷いた。
「それに…どんくせえ奴らにウロウロされてちゃ、俺の『
レオナのユニーク魔法、『
その対象物にはもちろん人間も含まれていることを忘れてはならない。
また広範囲での攻撃なため、ここにファントムと『S.T.Y.X』スタッフがいたとしよう。
非戦闘員である彼らがレオナの魔法を容易に躱せるはずがない。
そうなると、結果としてファントムともども砂になる末路しかないということだ。
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作者名:フウカ | 作者ホームページ:http naru1
作成日時:2024年1月1日 15時