【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ14)

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650話ページ14

視線の先には変わり果てたイグニハイドの寮長とその片割れが待ち構えていた。
シュラウド先輩は余裕の表情で挑発を促す。

「僕たちの本気、見せてやろうじゃないか」

【コテンパンにぶっとばしちゃうよ！】

フフ、と笑みを飛ばす兄弟に、リドル寮長たちは無言のまま杖を構える。

「いくよ、アズール」

「ええ、いきますよ！」

最初の先制攻撃はアーシェングロット先輩たちだった。
先輩が前方に防御魔法を張り、その間にリドル寮長が炎を召喚する。
今まで目にした中でも巨大な炎をシュラウド兄弟に向かって投げつけた。

炎は激しい音を立てながら先輩の元へ迫っていく。
しかしシュラウド先輩は避けることも防御魔法を張ることもなく小声で囁いた。

「……オルト」

それに応えるように背後の怪物が動き出す。
そして先輩を背後から包み込むように腕を交差し、炎の攻撃から守り抜く。

攻撃が呆気なく塞がれたのを目にし、寮長は眉を顰めた。

「……やはり一筋縄ではいかないようだね」

「まっ、それは僕らで検証済みですからね」

アーシェングロット先輩の言う検証済みとは、恐らく自身が起こしたオーバーブロットのことを踏まえてでしょう。

「おやおや、そんな余裕ぶってていいんですか？」

シュラウド先輩が再度両手を広げると、彼の目の前に青い液晶の板が複数現れる。
それに合わて怪物の両拳から青い炎が出現した。

【喰らえ！】

冷水のような声とともに正拳突きが繰り出す。
同時に、拳から出現した2つの炎が寮長たちに襲い掛かろうとしていた。

「まずい……リドルさん、避けてください!!」

アーシェングロット先輩が叫ぶ。
迫りくる炎から避けるよう先輩たちは大きく飛び退く。
正面に張っていた防御魔法は呆気なく崩れ去り、炎は建物の壁へと衝突した。

衝撃がタルタロス全体へ振動する。
攻撃を躱した寮長たちは切迫した表情で大きく穴の空いた壁に視線を向けた。
リドル寮長が震える声で言った。

「あのままあの場所に立っていたら……」

「間違いなくお陀仏だったでしょうね」

先輩はズレた眼鏡を掛け直すが、口元は引き攣ったままだ。

「ホラホラそんなところで突っ立ってていいんスかー？」

【ホラホラ～！】

呆気にとられる2人をよそに、シュラウド兄弟が次々と攻撃を放つ。
寸でのところを搔い潜りながら、アーシェングロット先輩が叫ぶ。