【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ12)

今日:48 hit、昨日:69 hit、合計:7,328 hit

648話ページ12

「そんな悪態をついているけど、キミだってこれが最善策だとわかってるんだろう」

寮長の挑発的な問いに、アーシェングロット先輩はぶっきらぼうに応えた。

「ええ、ええ。万が一僕らがヘマをしても、あの先輩たちならすぐさま次の策を展開できるでしょうからね！」

「いいでしょう、あなたの策に乗ってやりますよ」と自棄を起こしながら先輩は言う。
それを聞いたリドル寮長は大柄な口ぶりで言った。

「よろしい。ではボクが砲手で、キミが操縦手だ。さあ、『チャリオット』に乗りこもう。Aはすまないがここで待機してくれ」

「はい、分かりました」

怪我のことも考慮してでしょう。
寮長に言われた通り、私は大人しく頷く。

「ちょっと待ってください、僕が運転担当ですか!?」

自身の担当に納得がいかないアーシェングロット先輩が待ったをかける。
それに対し、寮長は生真面目な顔で言った。

「ボクは運転免許を持っていないからね……私有地内だから、気にする必要はないだろうか？」

「そんなの、僕だって持っていませんよ！箒に乗るのだってやっとだっていうのに！いきなり見たこともない乗り物を操縦しろだなんて。無茶振りも大概にしてください！」

いくら頭が良いからとはいえ、乗ったこともない乗り物を操縦するなんて無謀にもほどがある。
できるかと突っ込む先輩に、さすがのリドル寮長も押し黙ってしまう。
すると、トランシーバーから『大丈夫！』と声が入った。

『魔導ビーグル『チャリオット』は箒と違い、進行方向にハンドルを切るだけで自動でバランスをとってくれる。よっぽどのことがなければ転倒しない、マジカルホイールと同じだよ！さあ急いで！』

早くと職員が急かすが、アーシェングロット先輩は納得いかない様子だ。

「マジカルホイールなんて、人魚である僕には箒より馴染みがありませんが!?」

「余計に扱いませんよ」と、先輩はトランシーバーに向かって叫ぶ。
その傍らでリドル寮長が唸り声を上げた。

「ううん……こんなことなら教習所に通い、魔導車免許をとっておけばよかった」

「そんなことを言ってる場合か！」

不甲斐ないと残念がる寮長に、アーシェングロット先輩が辛辣なツッコミを入れる。
というか、こんなところで悠長に話していいのでしょうか。

ぎゃあぎゃあと先輩たちが揉める中、唐突に大きな振動が襲い掛かってきた。
その場で耐え凌ぎながら視線を下ろしてみると、『タルタロス』の壁をよじ登る巨大な怪物の姿が。