検索窓
今日:65 hit、昨日:69 hit、合計:7,345 hit

647話 ページ11

『冥府』の門が完全に開かれていることもあり、門の奥から次々とファントムが這い出してくる。

【ギギーッ!!!】

【キャキャキャキャ!!】

蟲の大群のように続々と現れるファントムにキングスカラー先輩が舌打ちする。

『チッ!あのでけぇの以外にも、次から次に『冥府』からファントムが湧いてきやがる!』

このままでは地下どころか塔そのものがファントムで溢れかえってしまう。
私たちの様子を耳にした男性職員が焦る声で言った。

『まずいぞ。非常用ハッチを開閉している所員たちはほとんどが非戦闘員。大量のファントムに襲われたら、ひとたまりも……!』





男性職員が危惧したとおり、『タルタロス』第6層から第1層にかけて所員たちが非常用ハッチを手動で閉鎖しようとしていた。
懸命に扉を閉めようとする中、外から甲高い声が響く。

【キャキャキャキャ!】

【ギィイイッ!】

突然現れたファントムに、女性所員が悲鳴を上げてしまう。

「う、うわあ!ファントムが襲ってきた!!」

「助けてくれぇ!」





頭上から響く所員たちの悲鳴に、皆が一斉に顔を上げる。

『いけない!!スタッフのみなさんが!』

塔の上層部にいる所員たちに危険が迫っている。
ハント先輩が叫んだ瞬間、リドル寮長がトランシーバーに向かって言った。

「ヴィル先輩、レオナ先輩!『チャリオット』で上層部へ向かい、彼らの救出を!イデア先輩とオルトは、ボクとアズールが足止めし時間を稼ぎます!」

自らが囮になると買って出た寮長に、シェーンハイト先輩は悔しげに言った。

『…………くっ、それしか方法はないわね。レオナ!アンタは第6層へ!アタシは第1層へ向かうわ!』

『ったく、めんどくせぇ。ひ弱なインパラらしく隠れてりゃいいものを、余計な手間増やしやがって!』

『頼んだわよ、リドル!アズール!』

その声を最後に、トランシーバーの連絡が途絶えた。
それから間もなく、遠くから機械音を耳にする。恐らく『チャリオット』の音でしょう。
視線を上げると、牛車ほどの大きさをした2台の鉄の塊が煙を上げて上空を上がっていく。

どうか、お気を付けて。
彼らの安否を思って『チャリオット』を見届けると、傍らからアーシェングロット先輩が大きなため息を吐いた。

「まったく!対価も決めずに、1番危険な役を引き受けるなんて。『雷霆の槍』の充電だって充分じゃないんですよ!」

全く、と呆れる先輩をよそに、寮長は不適に笑みを零す。

648話→←646話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
88人がお気に入り
設定タグ:ツイステ , ツイステッドワンダーランド , 転生   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:フウカ | 作者ホームページ:http naru1  
作成日時:2024年1月1日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。