出会ってしまった私達の話。【すとぷり】

忘れて。 ページ8

Aside






気分が上がらないまま、今日も仕事をこなす。





『はぁ。』



そこまで落ち込む必要があるか？と思うかもしれない。






ある。






他の人にとってはあまり気にしないようなことかもしれない。



私にとってはヤクザに目を付けられた位のピンチなんだ。




いや、もっとだ。






「あ」




突然声がしてびくつく。


この声の主は、私の顔を見た張本人。




『ななもり王子、こんな所でどうされたんですか？もうすぐ食事の時間ですよ。』




何事もなかったように話しかける。


忘れていてくれているのではないかという淡い期待を込めて。









な「あの、顔見られるの…嫌だった？」





めっちゃ覚えてるじゃん。第一声がそれか。







『はい。』



目を見てハッキリと答える。









『なので、忘れて頂けると嬉しいです。』








な「あの、別に迷惑かけたりプライベートに支障きたしたりしないよ？誰にも言わないし。」



ななもり王子は少し困った顔をしてそういう。









『忘れて下さいって言ってるではないですか。顔を見られたくなかったんです、駄目ですか』









な「どうして、忘れて欲しいの」




すんなり忘れてくれれば良いのに。




どうしてこだわるんだ。どうか、忘れてくれ。






お願いだ。






『私は…貴方達が嫌いなんです。嫌いだから、できるだけ関わりたくない。』







ただそれだけです、





そう言い残してその場を離れた。








ななもり王子にとって私はクソ人間だ。




まぁ、それで良いだろう。

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