出会ってしまった私達の話。【すとぷり】

過去の話。２ ページ13

そんな生活を送っていたある日、理桜が虐められている所を目撃してしまった。







声を震わせながら、強がって、抵抗して、そんな姿を黙って見ている訳には行かなかった。




いじめていたやつの胸ぐらを掴んで壁に詰め寄る。だか、相手も年上の男子だったから軽く殴り飛ばされた。




憎くて悔しくて仕方がなかった。




痛みを堪えて立ち上がり、相手の顔面にパンチをくらわしたんだっけな。



そのままぶん殴ってたら、当たりどころが悪かったのか相手が気絶した。っていうのが私の人生最初の暴力。









その後、同じ施設に住んでいる同い年の女の子に沢山褒められたのを覚えている。

当時は「悪い奴を倒すのは当たり前なのに、何故褒められてるんだ。」なんて疑問に思ってた。





中学生や高校生の時は、





学校で酷いいじめを受けた。



上から汚いバケツの水かけられたり、屋上から落とされそうになったり。




「お前、親いねぇんだろ。」



「保護施設で生活してるんだってね〜」



「貧乏人」





って言われたり。横を通るだけで






「死ね、死ね」



「うわ、不幸がうつる〜」






なんて言われるのだ。毎日、毎日。友達なんて出来た試しがなかった。



挙句の果てには担任にだって…





「うちのクラスには、雅楽川(ゴミ)がいるからな。」




思い出すだけで吐き気がする。




誰も信じられない。全てが敵に見えて、怖くて、辛くて、今にでも殺されそうで。









もう何もかも、無くなってしまえばいいと思った。









でも、理桜は…理桜だけは。傍にいて欲しかった。最後の希望だった。







高校3年生の春、理桜が中学3年生の春。









理桜が亡くなった。









交通事故だった。街にある横断歩道で信号無視して走って来たトラックにはねられたのだった。




私の目の前で。


優しく笑いかけていた理桜が数秒後には、真っ赤に染まっていた。









例えればさ、高い崖から落ちそうになってギリギリ小さな岩に捕まってるとして


その岩が、ﾊﾟﾗﾊﾟﾗと砕け散ってしまったようなね。









私の中の喜びという感情が消えた瞬間だった。






神様だって味方になってくれなかったんだね。









そうして、私の心は真っ黒に染め上げられたのだった。








『あはは』




この世っておっかしいね。

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