斉木空助のψ愛２【斉木楠雄のψ難】

訪問！ψ木夫妻 ページ5

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結局バタバタしてしまって、首元の跡はそのままになってしまった。

斉木さんのご両親との顔合わせなのに、不安要素があるなんて……と首元を隠すように、髪を前に持ってきた。

ご両親に悪印象を与えてしまったら、斉木さんとの婚約が無かった事にされてしまう。
場合によっては、斉木さんにも飽きられてしまうかも知れない。

せっかく好きという気持ちに気が付いたのに、それでは本末転倒だ。


「……頑張りましょう、」


そうポツリと決意すると、今更ながらドキドキしてきた。

玄関前で落ち着かずウロウロとしていると、外からガヤガヤと声が聞こえてきた。

恐らく斉木さん達だろう。
心臓がバクバクと鳴り響き、緊張感MAXだ。

ガチャリ、と玄関の重厚感のある扉が開き、私はワンピースの裾をギュッと握った。


「お待たせー、うちの両親連れてきたよ〜」
斉木さん軽ッ。よく緊張しないものだ。

「き、今日はお越し下さりありがとうございます。斉木さんと仲良くさせて頂いている飛崎羽純と申します」


よし、まぁまぁかな。
ちょっと噛んだが、私の得意な営業スマイルが打ち消してくれるだろう。

きっちり４５度の角度でお辞儀をした後、チラリとご両親を見遣る。

監視カメラ越しに見た通り、優しそうなご両親だ。
……とても緊張している様で、ロボットのような動きになっているが。


「はっ、ははは初めまして！！わ、わわ私くーくんの……じゃない！くっ空助の母の斉木久留美です……！」


……というか、お母様若っ！！

本当に斉木さんの母親なのだろうか？
とても大学生と高校生の息子がいるとは思えないピチピチ具合だ。

緊張している様子がまた若々しい。
女子大生ですと言われたら信じてしまいそうだ。


「あっ！あー、ああああの！ぼきゅは、ンンッ僕は……あー違う！私は空助の父の斉木國春でしゅ！……あー！！噛んだ！あ、ちょっま、もう一回！もう一回やらせて！テイク２！」


……なんだか、斉木さんとは随分雰囲気の違うお父様のようだ。

お父様が一人でワタワタ動いているのを見ていたら、なんだか緊張が和らいできた。
自分より緊張している人を目の前にすると、不思議と冷静になれる。

ちょっと頼りなさそう……いや、ちょっと子どもっぽ……いや、ちょっとアホっぽ……なんだかどんどん酷くなるので、考えるのは止めよう。

でも、優しそうで、一緒に居て楽しそうな人だ。

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